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2010年07月26日
リーグ戦トップを走る上海を迎え撃ったのは、全16チーム中15位と降格圏にある青島。相手が強豪とはいえ、ホームでの試合だけに負けることは許されない。ところが前半だけで2失点し敗色濃厚となった。
悪いことは続くこと。後半22分にはロディックがシミュレーションで2枚目のイエローカードで退場。その1分後にはユーコッチがレッドカードをもらい、2分間で外国人選手2人が退場してしまった。
こ れに切れたのが青島の選手とコーチたち。郭侃峰(グゥオ・カンフォン)監督による「審判に逆らうな、レッドカードになるぞ」との制止も聞かず、大勢で審判 を取り囲んだ。以前、こうした光景は中国スーパーリーグでは珍しいものではなかったが、暴力排除を掲げた今年のリーグ戦では初の事態だ。
この騒ぎに青島サポーターも即座に反応。3人がスタンドからピッチに飛び降りた。うち2人はすぐに取り押さえられたが、残る1人のサポーターは俊足を発揮、警備員を振り切って審判に跳び蹴りを決めた。
ピッ チの中では暴力三昧のカンフーサッカー、ピッチの外では八百長と混乱が続いていた中国サッカーだが、昨年からの八百長関係者逮捕、サッカー協会トップの交 代、規律回復キャンペーンにより、イメージが変わりつつあった。その最中での暴力事件は中国サッカーに大きな打撃をもたらすものとなった。
21日にはサッカー甲リーグ(2部相当)の南京チームの主力選手が給与未払いを理由に試合をボイコット、チームは0対10で敗れる事件も起きている。変わり始めた中国サッカーが改革を徹底できるのか、まずは最初の試練を迎えたようだ。