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2010年07月26日
「製品+サービス」の新たな輸出モデルで国際市場を開拓。中国南車の輸出は収穫期へ
同社はマレーシアと40億元の鉄道車両販売契約を交わした。クアラルンプールの南北を結ぶ路線に利用されることになる。マレーシアとの契約は中国南車が東南アジア市場における「要所」を制したことを意味するものと言えよう。従来型の単純な製品輸出モデルと比べ、今回のプロジェクトは維持や修理、アップグレードなどのサービスまで包括したもので、製品の付加価値を更に高めることに成功した。
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同社の車両機器製造はすでに十分な競争力を備えており、公開情報によると、サウジアラビアと機関車10台納入の契約を交わしている。アメリカ大陸でもブラジルとアメリカの高速鉄道プロジェクト獲得の可能性は大きい。また中国はアルゼンチンと100億ドル(約8770億円)の契約を交わしている。アルゼンチンは中国企業2社(中国南車、中国北車)から車両を購入する意向だ。中国はすでに鉄道機関車製造業の世界的中心となる条件を備えており、企業の輸出はまさに収穫期を迎えた。
中国南车:大额订单不断 国内国际市场同时加速拓展 - 财经 - 21CN.COM
中国の高速鉄道が本格的にスタートしたのは2007年4月のこと。それからわずか3年で凄まじいばかりの進化だ。最高時速も当初は250キロだったのが、今では北京・天津間高速鉄道を始め、営業時速350キロと世界最高速路線も続々と誕生している。今後も北京・上海間高速鉄道など建設予定路線は多く、2010年代は中国にとって「高速鉄道の10年」となるだろう。
米国やブラジルなど日本と競合するプロジェクトも多いが、中国は強敵となることは間違いはない。急成長を続ける国内市場を抱え込んでいるだけに、ノウハウと技術の蓄積は早く、大量生産によるコストダウンも期待できる。さらに金ならばいくらでもあるだけに、中国の銀行が貸し付けて、中国企業が受注するというかつての本のお家芸まで奪われている。
「高速鉄道の蓄積ならば日本が一番」と技術信仰に陥っていると、足元をすくわれるのは間違いないと言えそうだ。
<関連リンク>
・asahi.com:中国の機関車、サウジとアルゼンチンに輸出へ - 人民日報 - 国際
・中国南車:マレーシアと鉄道車両輸出契約を締結|物流・観光|ChinaPress
・中国版新幹線、米国への輸出目指す=特許問題も「技術はすべて中国のもの」と断言―中国紙
・日中が米高速鉄道めぐり激しい受注合戦=技術盗用で日本が中国を訴える可能性も―米メディア
・アルゼンチンが中国から鉄道技術を導入へ=数十億ドルの巨大プロジェクト―米紙