中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2010年07月29日
ここで、おや?と思われる方も多いかも知れません。昔から食べてたんじゃないの?と。違います。昔は食べていませんし、食べていたとしても極少数の地域でのこと。昨今の四川料理ブームに乗ってというのが、実情かと思います。そもそも、食用に養殖している材料のザリガニは、アメリカを起源とし、日本でも大繁殖してしまった外来種の雄、アメリカザリガニです。
日本でも戦後ザリガニを食する地域というのは、急激に増加したと言われ、今も少数地域で文化が残っています。食用ガエルの餌として持ち込まれ、全国に渡ったというのが諸説。生や生煮で食してしまい、肝臓ジストマという寄生虫によって亡くなった方も少なくありません。即ち、中国は言ってみれば、日本よりも遅れたザリガニ料理後進国とも言えるのです。
そのイメージが色濃く残っているのか、日本では「ザリガニを食べる?戦後食糧難でもないんだから(笑)」。と一笑に付する方も少なくないと思います。日本の若い女性などは、顔をしかめる方も多いでしょう。
そういった方に必ず伝えていることが、本家アメリカでも当然食べる地方があるということ。まあ、言ってみればロブスターですから(笑)。北欧でも日常的に食べますし、フレンチの高級食材エクルビスも、実は同種のザリガニが良く使われています。
麻辣ザリガニは、自分も何度か食しました。おもしろいもので、赤いトウガラシのタレで、手が汚れぬよう、薄い半透明のビニール手袋をして頂きます。まず、その過程が旅行者にはおもしろいですね。手袋をして、ザリガニを食らう(笑)。さながら理科実験の様です。
食べてみると、臭みの無さに驚きます。まあ、それを全て相殺して余りあるだけの激辛コッテリ油ダレで炒めてありますので、当然と言えば当然なんですけどね。
ただ、結構な大きさのザリガニでも、身は人さし指の先ほどもありません。労力に見合わないところがあるのは否めません(笑)。味は非常にタンパクで、シャコに似ているのではと思いました。まあ、味のないエビです。
最初に食べた時、衝撃的だったことがあります。そのレストランでは、頭の味噌も食べなさい。と指示されたこと。若干恐怖に顔が引きつりましたが、トライ。これはおいしい!なかなかの物だと思いました。エビ味噌と遜色なかった記憶すらあります。
このザリガニ料理、微笑ましいのが、食べている人たちが非常に楽しそうなんですよね。皿にこれでもかと積まれた真っ赤なザリガニ達。食べれるところは少ないですが、強烈な辛みとしつこい油で、お腹は満腹になりますし、ビジュアルも含め酒のツマには最高です。
冷えたビール片手にザリガニを囲み、今日の馬鹿話に花を咲かせる中国庶民の人々、その姿に言い得れぬ羨ましさを感じたことを、今だ鮮明に覚えています。
新橋のサラリーマン界隈かなんかで流行らないでしょうかね(笑)。