中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2010年08月01日
しかし、逆境に負けなかったのは見事。建設期間が延びたことを利用し、新たな流行を取り入れ、内部空間を広くとったり、高さも460mから492mへと引 き上げるなどの改善プランを敢行。当初は予定の無かった最上部の風穴まで開けてしまったのは、もうたくましいと表現するしかないでしょう。
そして、開業からほぼ一年が過ぎた昨年夏。自分も登ってきました(まさに登るという言葉が似合います)。
さすが世界3位の存在感。遠くからでもよく見えます(スモッグの凄い日は無理ですが)。いやはや、圧巻です!でかいです!ほんとでかいです!近隣は上海の金融街、巨大な高層ビルが並びますが、周囲の巨人たちを完全に圧倒。他の高層ビルが小さく見えます。
外観を見て、まず最初に思ったこと。完成間もないので当たり前ではありますが、上海で最も近代的デザインのビルだということ。大きさだけではなくデザインの面でも、上海のビル群の中では異質です。
こちらは上海ヒルズの下で撮影した周囲の写真。どうですか、この歪んだ感じ(笑)。しかし、この歪んだ感じこそがむしろ、従来の上海的な、人を幻惑するかのような魅力だったのではないでしょうか。
そうした従来の雰囲気とは異なる巨大なビルが誕生したことで、当たりの世界は完全に変わってしまい、あたかも今までの価値観が一瞬で空虚なものとなってしまった。そんな印象を受けました。
ただ、思うに上海は近代から新たなものを受け入れ続け、変化しづけてきました。そして、そうした都市の変化こそ、人、物、文化が流動する先端都市であり続けてきた背景なのでしょう。
上海ワールドフィナンシャルセンターの威容を見ると、なんだかもの悲しい気持ちを覚えました。魔都のど真ん中に、明るい明かりができたようなものではないか。古い、懐かしいものが失われてしまうのではないか、と。
こうした感傷は中国人にはないものかもしれません。変化を続け、成長することに彼らは貪欲です。もはや日本人には変化に耐えうるタフさが残されていないのではないかとも思います。そういう意味では、ある種の悔しささえ覚えました。
長文になったので、今回はここまで。上海ヒルズの中まで入れませんでした(笑)。登頂記はまた後日に!