自民党から参院選に立候補。当選はなりませんでしたが、「オタク兼経済評論家」としての知名度を飛躍的に高めた三橋貴明氏が、ブログで「中国経済の真の問題」というエントリーを公開しています。
中国経済の真の問題 前編|三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」中国経済の真の問題 中編|三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」中国経済の真の問題 後編|三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」大変興味深いので実際には読んでいただくとして、大学のゼミ風(?)にレジュメを切ると以下のとおり。
(1)世界金融危機対策として中国は
・ドル固定相場への復帰
・巨額の財政出動
・金融緩和
の3点の対策を実施。
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後遺症としてバブルに。投資依存体質悪化。
(2)健全な経済は投資中心ではなく、消費中心にならなければならない。家計の過剰な貯蓄を消費へと向かわせる必要あり。
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そのためには高い教育費や医療費などの問題を解決する必要。そうでなければ、国民は安心して金を使うことができず、将来の保険に貯蓄に走る。
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教育費、医療費の解決など社会保障の充実には、(みんなで助け合うことへの)国民的合意が必要。だが、「民族、言語、文化、価値観が全く異なる人々を、共産党独裁により強引に結びつけているのが中国」のため、実現は不可能。
(3)日本と中国の経済構造はよく似ていると言われる。日本はまず輸出で稼ぎ、それから消費社会へと移行した、という話は神話に過ぎない。
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実際には高度成長期には個人消費がGDPに占める比率は6割前後に達しており、現在の中国とは全く異なる。中国が参考にするならば、戦前の日本を参考にするべきでは。
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1920年代の米国では一次大戦の帰還兵が莫大な可処分所得を手にし、大衆消費社会が花開いた(中国にはそうした可処分所得を手にした広範な社会グループが存在しないとの指摘?)
どうでしょう?単位もらえそうなレジュメですか?(笑)
三橋氏の主張に素人ながらコメントさせていただくと、
(1)国民的合意がなく社会保障の整備ができないというが、医療保険や年金の整備はそれなりに進められている。また民族、言語、文化、価値観(私なら階層を入れますが、価値観に含まれているのでしょうか?)の分断をことさらに強調するのもいかがなものか。そうした分断をぼんやりとつなぎとめて一つの国としてきた歴史を中国は持っている。
(2)高度経済成長期日本とのGDPに占める消費の割合が違うという指摘にはうなずかされました。が、「
月光族」に象徴されるような新中間層やあるいはホンダ広州工場ストライキで注目された「新世代出稼ぎ農民」(農業の経験がない農村戸籍の出稼ぎ労働者。親世代と違い、生活のゆとりを求める傾向や権利意識が強く、生活改善を求めて賃上げストライキを敢行したと分析されている)の出現をどう捉えるのかという問題が残るかと。すなわち「メディアで取り上げられているだけで統計的にはまだ取るにたらない存在」なのか、あるいは「広大な中国では地域偏差が大きい。地域ごと、都市ごとのGDP構成を分析すると、沿岸先進地域ではGDPに占める消費の割合が高いのではないか」といったことが考えられるように思います。
素人ながら非常に興味のあるテーマなので、またいろいろ材料をひろって考えを述べたいと思います。
(Chinanews)
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