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2010年08月05日
南方農村報は取材を開始、動画を撮影した梁さんを探し当てた。梁さんによると、動画は5月17日に撮影されたもの。話を聞くと、問題は4200ヘクタール余りの農地をめぐっての土地争いにあったという。
こ の農地は深涌村が利用権を保持していた。1998年11月、同村は地方政府と「土地収用協議」に調印。補償金と引き替えに農地を手放すことになった。ところが補償金が農民の手にわたることはなかったという。「土地収用」にもかかわった当時の村政府官僚は、金はどこに消えたのか、まったくわからないとコメン トしている。
2005年、不動産開発企業が農地の開発に着手しようとしたところ、現地農民の妨害を受けた。村民たちは広東省国土庁に、土 地収用は合法的な手続きが踏まれておらず、当時の村官僚が勝手に売ったものだと訴えた。住民たちの訴えが認められ、地元自治体は「事態が解決するまでは土地の使用は現状を維持する」と定めた。
事態が変わったのは今年4月、地元自治体の官僚・鄭が深涌村村民を集め、農地は不動産企業に売却さ れたと宣言。5月初頭には整地が始まり、「跳び蹴り事件」へとつながる。その後、22日には農地を守る村民と迷彩服を着た正体不明の男たち数十人との衝突 も起きた。村民5人がトウガラシスプレーの噴射を受け、うち1人が昏倒した。これに怒った村民たちは同日夜、付近の主要道路を閉鎖。交通が麻痺する事件も 起きている。
*鍬を持ち、農地を守る女性。
*農民たちによる幹線道路の封鎖。
村民たちの抵抗むなしく、不動産開発企業の整地作業は着々と進んでいる。現在、農地の周囲には高さ3 メートルもの鉄の壁が張り巡らされ、ガードマン数人が日夜巡回している。南海区共産党委員会宣伝部のある官僚は取材に答え、区国土局の調査の結果、問題の 農地は「合法的な土地収用手続きが取られていたことが確認された」と話している。