中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2010年08月06日
ポイントをまとめると、
(1)「見えない収入」は9兆2600億元という巨大な規模に
(2)「見えない収入」は高所得者層に集中。公的統計以上に格差は大きい
(3)「見えない収入」は経済成長率を上回るペースで拡大している
といったところでしょうか。今や世界最悪水準にまで落ち込んだと言われる中国の格差。しかし統計以上に悪化していると言われると、それはもう……。
2007年、王副所長と中国経済体制改革基金会は2005年の灰色収入に関するリポートを公開した。当時、誰もが存在を知っている灰色収入だが、実際にどれほどの規模なのか誰も知らなかった。
今回、王副所長はサンプル調査の範囲を拡大した上で、2008年の灰色収入に関する研究を実施した。その結果、灰色収入は経済成長率を上回るペースで成長しており、国民収入の格差はますます拡大していることが明らかとなった。
今年、中国政府首脳は相次いで収入分配制度改革に賭ける決意を表明している。王副所長の研究は、国民収入の真実について新たな視角を与えるものとなった。
1・「隠れた収入」がGDPの30%を占めている
推定された2008年の全国民の可処分所得は23兆2000億元。公式統計の14兆元より9兆2600億元多く、GDPの30%に達する。うち灰色収入が5兆4000億元と見られる。
2・2005年から2008年の「隠れた収入」の成長率は経済成長率を上回る
2005年比で「隠れた収入」は91%増。GDPは71.4%増。
3・収入別で見た場合、最高額の収入を得ている人が「隠れた収入」の62.5%を得ている
4・「隠れた収入」の伸び率は、通常の収入の伸び率をはるかに上回っている。
2005年比で「隠れた収入」の伸び率は91%増。公式統計による、通常の収入は57.4%増とGDPの伸び率を大きく下回る。「隠れた収入」を足した場合、住民収入は69.3%増とほぼGDPの伸びと一致する。
5・「隠れた収入」を加味した場合、所得が最も高い世帯グループと最も低い世帯グループの収入格差は、公的統計以上に拡大する。ゆえに国内外の専門家が算出した0.47~0.50というジニ係数も実際はより高いものと見られる。
収入の上位10%と下位10%の世帯を比較した場合、公的統計では収入格差は9倍。「隠れた収入」を加味すると26倍になる。
6・通常収入以外の収入、とりわけ所得最上位の人々のそうした収入は大きく増加しており、格差はさらに拡大している。
7・王副所長らの研究データでも、所得最上位の人々の平均収入は低く見積もられている可能性が高い。所得最上位の人々のサンプルが十分に得られなかったため、推定が低く算出された可能性が高いという。