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2010年08月20日
人民網によると、市公安局は19日、この事件が実際にあったことを認めた。サウナ管理者側が客がケンカしていると新区派出所に電話したこと、城東区の警官が私服だったことが誤解を招いてのミスだったと弁明し、新区派出所の責任者と警官に職務停止処分を科したと発表した。
10日以上も発表が遅れた事故隠し容疑はともかくとして、いかに手荒さが売りの中国警察とはいえ、同僚にそこまで暴力を振るうものだろうか。市公安局の説明には疑念が残る。20日付重慶晨報に掲載されたコラムでは、事件に対する3つの疑問を挙げている。
第一に城東区警官はなぜ管轄を超えて新区のサウナを取り締まったのか。第二に原因は執行権の争いではなかったのかという点。管轄地域の執行権はある政府機 関にとっては利益の源泉。隣の管轄に「ナワバリ」を荒らされるのは許せない。第三に新区派出所がサウナを「保護」し、見逃してきたのではないかという疑惑。隣の派出所が連絡もせずに踏み込んだことが「暗黙のルール」に反したのではないか。
コラムで挙げられた疑問はいずれも納得するところ。警察と地下産業との癒着が問題となっているなか、ぜひとも真相を明らかにしてもらいたい一件だが、市公安局が筋書きを発表した以上、もはや解明は難しいように思う。