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<映画評>カンフーなのにKARATE KID?!=リメイク版「ベスト・キッド」を観た<1>

2010年09月16日


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※1984年公開、オリジナル「ベストキッド」。
ハチマキが日章旗に見えるんです。。

テレビCMなど大々的なプロモーションも展開された話題の映画、リメイク版「ベスト・キッド」。オリジナル版では、日系人のノリユキ・パット・モリタが演じた空手の達人ミヤギのポジションを、あのジャッキー・チェンが演じるという点でも注目を集めました。製作はウィル・スミス、主演はウィル・スミスの息子ジェイデン・スミスです。

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※今回のリメイク版「ベスト・キッド」。ジャッキーかっこ良すぎ!クリックでオフィシャルサイトへ。

そろそろ上映も終わりそうな時期になってしまいましたが、遅ればせながらこの映画を観た感想を書いてみます。

リメイク版の話をする前に、どうしても外せないのがオリジナル版「ベスト・キッド」(84年、原題:The Karate Kid)の話。子どもの時に見て感動した、印象深い作品です。

原作の舞台はLA、ニュージャージーから引っ越してきた少年が……。って面倒なのでウィキペディアからあらすじを転載(笑)。

 主人公ダニエルは親の都合により転校する。新たな友達もでき、お金持ちの少女アリとは相思相愛の仲になるが、それに嫉妬したアリの元彼で空手家のジョニーがダニエルをボコボコにしてしまう。それ以来ジョニーとその空手仲間達から壮絶なイジメにあうようになり、友達もダニエルの元から去ってしまった。アリとアパートの管理人ミヤギ老人だけがダニエルに優しく接する。ハロウィンパーティの夜、ジョニーらに仕返しを試みたダニエルは逆にリンチに遭ってしまう。ダニエルの意識が朦朧とする中、どこからともなく現れたミヤギがジョニーたちをあっという間に倒してしまう。実はミヤギは空手の達人であった。

というようなお話です。アメリカでは予想以上の大ヒット。ムーブメントを巻き起こし、学校ではカラテポーズが大流行したとか(笑)。

思い出の作品ではありますが、米映画にお約束の「勘違い日本像」も凄まじい(まあ、そこが逆に愉快な)映画でした。細かな「おいおい、ちゃうぞ!」的な部分は割愛しますが、一番大事なKARATEを誤解しているのが残念なところ。というかKARATEじゃありません!ミヤギさんの流派は沖縄系の剛柔流をモデルにしたもの。剛柔流といえば突き主体なのですが、実際のアクションはどう見てもエセ太極拳かパチモノ合気道にしか見えません!

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※クリックでミヤギ流KARATE!

まあエセ太極拳だったにせよ、弱そうな老人がマッチョなアメリカ人を魔法のような技で倒す光景には、本当に興奮させられました。KARATE、ZEN、SAMURAI、AIKIDO、NINJAなど80年代流行のエスニックジャポン文化とジャッキー、リー・リンチェイ(ジェット・リー)などのカンフー映画の雰囲気を、うまい具合にミックスして作られた映画だったように思います。

また、この映画、リアルかどうかは置いておきたくなるほど良い映画なのです。正直、ちゃんと観ると泣けます。監督はロッキーを監督したジョン・G・アヴィルドセンですし、音楽は巨匠ビル・コンティ。細かな演出もばっちりで、少年の成長物語、青春ドラマとして完成しています。


日本では「痛快B級青春カラテ映画!」というような位置づけですが、なんとミヤギ役のノリユキ・パット・モリタは、本作でアカデミー助演男優賞にノミネート!日米の温度差には計り知れないものがあります。日本人だと、どうしても「勘違い」の部分で笑ってしまうのが大きな要因ですかね。

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※オリジナル「ベスト・キッド」予告編。クリックで動画。

アカデミー賞ノミネートが示しているとおり、この映画の核は何と言ってもミヤギを演じるノリユキ・パット・モリタでしょう。その風貌、雰囲気は、正に皆が抱く東洋武術の達人そのものです。

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※とにかくミヤギさんがかっこいい映画!。クリックで動画。


そして今回のリメイク。ジャッキー・チェンがミヤギ役とのことで、最初は
「ジャッキーが日本人空手家役?!おいおい。」とびっくり。ところが、その後の情報を見ると、なんとまさかの米中合作映画、舞台は北京!そして何より空手じゃなくてカンフー!

その時、自分は思いました。なるほど、そうか、「リメイク」というより「リ・イマジネーション」なんだな。じゃいいよ、構わないよ。ジャッキーがミヤギ的役柄を演じるなら観に行ってやるよ、と。

邦題は?「ベスト・キッド」のままか。うん。いいだろう。それは構わない。日本の市場も意識してるはずだ。分かる。映画も立派なビジネス。邦題は同じであるべき。カンフーでも空手でも どっちでも良いタイトル名だし。と優しくリメイク版を迎える準備ができていたのですが……。


ん?!原題が……。

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「The Karate Kid」!?

なぜ「The Kung-Fu Kid」じゃないの?!「The Karate Kid」と銘打たれていても、中身は中国が舞台のカンフー映画。これじゃ空手をコケにしたようなもの。「The Karate Kid」と銘打たれたことで、カンフーもコケにされているし。さらにさらに。原作に思い入れのあるオールドファンだってコケにされているっ!!!

酷すぎるっ!許せないっっ!

と見る前から怒りに燃えた私。長くなりましたので、実際に見た感想は続編にて。


(kenya)
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