中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
※犯人画像。自動小銃M16を所持していた。同職だっただけに、警察の動きも大方把握していたと思われる。
状況の著しい悪化から、突入を決断したフィリピン警察。ハンマーでガラスを割って中へ潜り込み、激しい銃撃戦が展開されました。ほどなくして犯人は射殺されましたが、銃弾に当たり7人の乗客が死亡。病院に運ばれた1人もまもなく死亡しました。(射殺された犯人画像、心臓の弱い方はお控え下さい)。
亡くなった8人はいずれも香港人。異国での楽しい夏のバカンスが一転、血が飛び交う凄惨な殺戮現場と化してしまいました。しかし、映像でも分かりますが、素人目にも伺いしれるのが、フィリピン警察の統率と手際の悪さです。アメリカのSWATなどと比べるのは酷な話かも知れませんが、あんまりでは無いでしょうか。
後手に回り、無理な突入を強いられるような状況化に追い込まれてしまったのだとは思います。しかし、命を賭けて突入した警官の方々には申し訳ないのですが、どう見ても警官の流れ弾で亡くなった犠牲者の方もいるのではないかと勘ぐりたくなるのも正直なところ。細かな状況は、これから生存した乗客の話などで明らかになる可能性も高いと思われます。
こういったバスジャック事件での突入で思い出すのが、2000年に日本で起こった西鉄バスジャック事件です。2ちゃんねるで「ネオ麦茶」と名乗る少年が、包丁一本を持っての凶行で、女性一人が失血死するまでに至った痛ましい事件でした。あの事件で突入し少年を取り押さえたのが日本版SWATと言われる、SATです。当事件が元で、日本のテロ犯罪への危機管理意識や特殊部隊への考え方にも大きく変化があったと言います。
在フィリピン中国大使館を通じて、中国政府もこの度の事件を強く非難し、「中国人の安全を確保する具体的な措置を講ずることを求める」との声明を発表。
大変痛ましく救いようのない事件です。海外旅行に行く際、特にフィリピンのような、治安の悪い国は特にですが、細心の注意、警戒が必要。もちろん今回の亡くなった香港の方々も、ある程度の心づもりはされていたと思いますが……。
日本では、滅多に起こる類いの事件で無いのは事実です。銃火器の入手が海外より困難だという部分でも、対岸の危険地帯の話と思われる日本人の方も多いでしょう。しかし、日本国内でも西鉄事件のような類似事件は起こっています。尚かつ、海外旅行先でいつこのような状況化に置かれるかも分かりません。
自分としても、バスという身近な乗り物で起きた凶行ということも含め、心底、背筋が寒くなるような思いがしました。
フィリピンの観光収入にも大打撃を与えそうなこの事件。フィリピン政府ならびにアキオ大統領の、治安回復に向けた真摯な態度と、早急な対策実施を望みます。
今回犠牲にあわれた方々のご冥福を、心よりお祈りいたします。