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2010年08月25日
そして今年8月、上述のレコードチャイナの記事ですが、23人の専門家が曹操の墓はニセモノと主張。中でも中国政法大学・黄震雲教授は「出土品の中にある、画が書かれた石、電ノコで彫ってね?」と指摘。注目を集めました。「これは『第二の華南トラ』になるのでは」との声も上がるほど(陝西省の農民・周正龍が、野生では絶滅したと思われていた華南トラの写真撮影に成功。陝西省政府は異例の「拙速さ」で写真を本物と認め、「華南トラ特区」まで作ろうとしたが、専門家やネットユーザーの指摘でトラは写真パネルだったことが判明したという事件)。
そしてそして、さらに騒動を盛り上げる人物、曹操の墓捏造疑惑を暴く探偵役が登場です。閻沛東という人物が決定的な証拠をつかんだと主張(学者公布"曹操墓"造假証拠 文物出自地下造假点)。なんでも発掘初期に現地を訪問、現場で働く農民から捏造を聞き出した録音が持っているそうで。そりゃもう完璧な証拠ですね!さらにさらに、「魏武王」と刻まれた石碑を作ったニセモノ骨董品工房まで突き止めたのだとか。「工房には小説『三国演義』が置いてあって必死に勉強していたぜ(笑)」とまで語っております。
まもなく録音テープを公開するという話なので、「これでもう捏造確定やで!」と盛り上がりたいところではありますが、逆にあまりにもそろいすぎた証拠に不安も。この探偵、果たして信じて良いのでしょうか?
先にご紹介した23人の専門家が集まったフォーラムにも、閻さんは出席予定だったそうですが、突然、出席をとりやめ。肩書きも「自称河北省学者」ということで、何をして食べている人なのかもさっぱりわからず。
被疑者も探偵も両方怪しいという、スリリングな展開。曹操の墓の捏造が確定し、中国の「世紀の捏造連発」が確定するのか。はたまた探偵の正体が暴かれるという逆襲があるのか。いやはや、今後の展開が楽しみでなりません。
「魏武王常所用挌虎大戟」「魏武王常所用挌虎大刀」の石碑については、これらは副葬品の目録でして、唐代以前の人間にとっては盗む価値がなかったのです。大戟や大刀といった現物の副葬品はなくなっています。
「魏武王常所用慰項石」については、これは石枕です。宝物としての価値は無いに等しいので、これも残ったわけです。
現代の目からみた歴史的価値と、過去の盗掘者のみる実利的価値は違うものなのです。