中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2010年08月27日
中国の大学入試は日本のセンター試験にも似た統一試験「高考」一発勝負。その後、点数に応じて合否が決まるのですが、大学のランクによって、事前募集(軍や警察関係などの特殊な大学)、本科1期から3期、専門科1期と2期、6段階に分けて合否が判定されます。
2010年8月26日付青島新聞網が報じた、今年の山東省の入試合格ラインは、最もレベルが低い専門科2期で190点とのこと。100点満点に直すと38点。なんと4割の問題を解ければ、進学できる計算です。
ちなみに専門科2期の合格ラインは年々低下しているそうです。2006年は文系・理系ともに280点。2007年は文系280点、理系190点。2008年は文系・理系ともに220点。そして2009年は210点。そして、今年は190点と過去最低を記録。5年間で90点ものだだ下がりっぷりです。
その原因はというと、第一に大学定員の増加。4~5年前までは中国全体で年5%ずつ定員の拡大が続いていたとのこと。現在は3%程度に減速していますが、山東省は年4%と比較的ハイペースでの定員増が続いています。
そして第二に進学希望者数の減少。山東省は2008年の78万人がピーク。今年は65万人にまで減少しました。今年、山東省の大学定員は53万4000人。83%が合格する計算です。試験は受けたものの進学はやめるという学生を加味すれば、実質的には誰でも大学に入れる時代になったとか。さらに2013年には進学希望者と大学定員の逆転が起き、完全な「大学全入時代」の到来が予想されています。
これは山東省の話ですが、経済的に発展している東部ではどこもにたりよったりの状況でしょう。これまでは偏差値的には最下位だった大学でもある程度の選抜があったわけですが、「全入」となると一気にがたがたに。私の友人の日本語教師なんか、半年授業した後のテストで「はい」「いいえ」が言えなかった生徒がいたと嘆いていました。
日本同様、中国でも大卒がエリートだった時代は終了したと言えるのではないでしょうか。これまでは「エリートをたくさん作るのだ」「国を支えるエンジニアを量産するのだ」と大学改革に突っぱしってきた訳ですが、「こんな大学に意味があるの?」「大学って何するところだっけ?」という根本的な話も含めた揺り戻しがありそうです。
大学を増やしまくった江沢民が悪いってことで、胡錦濤に叩いてもらいましょう。