中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2010年08月29日
26日、中国青年報の取材を受けた閻沛東氏(北京龍騰盛世旅行文化情報諮詢センター主任、三国文化研究センター顧問と肩書きも判明)は「証拠なんてないっす」と一言。次なるネタをワクテカして待っていたメディアを狂乱に陥れました。今頃、捏造証言テープを「作って」いるんじゃないかと期待していたのですが、なんなんだ、この展開は(29日付海南日報)。
それどころか、学者23人が疑惑を主張した「三国文化ハイレベルフォーラム」についても、「発掘チームの人を呼んでないなんておかしいですよね?」とばっさり。閻さんも参加予定だったと報じられていたのに……。謀反じゃ、謀反がおきたぞー。
というわけで、私をワクワクさせた「謎の探偵」はいきなり脱走してしまったわけですが、今後の展開はどうなるのでしょうか?
「曹操の墓」発掘チームは、「三国文化ハイレベルフォーラムはデマを流し、我々の社会的信用を傷つけた」との理由で、中心人物6人を告訴する方針だとか(28日付東方今報)。また中国社会科学院考古研究院の唐際根研究院は「捏造なんてありえない」と証言するなど、さらに論戦の参加者も登場しているよう(29日付中広網)。
攻勢から一転、「捏造派」が一気に苦しくなった印象。で、いったいこの墓は本物なのかいというのが気になるところ。枕流亭ブログのエントリー「曹操の墓から出土した石碑が偽作との説」が詳細な検証を行っていて興味深いのですが、やはり「なんか怪しい」という気持ちがぬぐいされません。
墓発見がレッドクリフ公開と同年、あっという間に発表されたかと思えば今年9月の記念館オープンにこぎつけたこと、こうした「できすぎ感」が怪しさのもとではないでしょうか。他人様の研究を怪しいだとか言い立てるのは、本来、大変失礼な行為だと思われますが、「華南トラ」の問題をはじめ、地域への利益誘導を狙う似たような事件があったことを考えると仕方がないのかな、と。
もはや海外の第三者機関にでも裁定してもらわないかぎり、疑惑は晴れないかもしれません。
閰沛東氏が電話取材に答えて
「わたしは逃げも隠れもしない!(キリッ」
「10日以内に偽作の証拠を出す!(キリッ」
とか意気軒昂です。