中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2010年09月05日
世界的な映画スターのブルース・リー。格闘家としても超一流だったと信じられているが、実は強度の近視で、ほとんど試合をしたことがない。全米空手王者を獲得したというのは間違いで、大会の優勝歴といえば香港高校アマチュアボクシング王者ぐらいだ。
では、散打選手の実力はどうだろうか?近年、日中対抗戦、中国対世界対抗戦などが行われ、中国は見事な成績を収めている。しかしこれも相手が弱かったり、散打選手に都合のいいルールを採用したりすることで作られたもの。
昨年のある試合では、主催者は出場した日本人選手の戦績を捏造、「日本の強豪選手」をでっちあげた。中国・タイ警察散打対抗戦はもっと皮肉だ。警察に所属しているとはいえ実質プロの中国人選手が、アマチュアのタイ警察官相手に戦っている。しかもひじやひざなどムエタイの武器はルールで禁止されていた。
連戦連敗となったタイはようやく事情を理解。ならばと2003年の試合では日本のK-1でも活躍しているプロ選手・ブアカーオを警察官に仕立て上げて、送り込んできた。体重では10キロも重い散打王・孫涛(スン・タオ)が相手だったが、ブアカーオは圧倒。わずか2ラウンドでタオルが投げ入れられた。
Muay Thai / Willy_G91
※ギャンブルでもあるムエタイ(ご指摘頂き改訂)。単一国家で行われている格闘技として、その層の厚さと競技レベルの高さは特異。ボクシングの世界でも多くのムエタイ経験者がチャンピオンに輝いている。
こうした事情を知っても、散打選手は武術家ではないと反論する人もいるだろう。本物の武術家は寺の高僧であったり、道教の道士であったり、あるいは民間で ひそかに修行する達人のはずだ、と。しかし現実は残酷だ。かつて散打選手に加え、名だたる流派の民間武術家100人を集めた大会が開催された。達人たちは 優勝するどころか、10秒も持たずに負ける者ばかりだったとか。伝統武術といっても今や型中心で、試合を想定した練習はやっていない。しかも古くさい練習 方法から運動としての効率も良くないという。
天下一の中国武術と喧伝される背景には、長年にわたる民族の自信不足がある。近代中国の伝説的武術家・霍元甲が大きな西洋人を打ち倒した時より、武術は強 国を目指す中国人の願望が宿るシンボルとなった。映画によりそのイメージは拡大化され、さらにそうした心理を利用した商業的な中外対抗戦が幻想を深めて いった。今や民族の自信不足は自己欺瞞へと変わっている。
まずは弱さを認めることから始めよう。それこそが中国武術が本当の世界一を目指す第一歩となるのだから。
李小?雕像 / rayzhouli
*上記記事はレコードチャイナに掲載されたもの。
<2010/9/06追記>
・記事で紹介されているK-1で活躍するブアカーオと散打選手との試合ですが、Youtubeに試合映像があります。2chまとめサイト「痛いニュース」で紹介されていました。
※クリックで動画リンク開きます。
序盤から、ブアカーオの怒りの蹴劇が開幕。10キロではハンデにならない。恐るべしムエタイ。。
あの筋肉に憧れたなあ~
そうですか。
最近の格闘技の試合をテレビで観る限り、薄々気づいていましたが、中国武術が超人の如く強いのは、武侠小説やカンフー映画の中だけなのですね。
残念です。
まあ、その頃鍛えたおかげで、今でも腕と胸板は厚いので、損にはならなかったわけですが・・・