中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
「香港の謎の投資家が森林を買収」「『森林投資』は金のなる木と呼ばれ、グローバル資本が狙っている」「中国では高級木造一軒家が人気。木材需要が高まっている」「水源を守る公共性の高い森林、外資の乱伐を許して良いのか」「二酸化炭素排出量取引を見越した森林需要の高まりが」と煽りまくり。
日本の森林が買われていく
この夏、北海道倶知安町の山林が香港企業によって密かに買収されていたことが判明。買収劇の周辺取材を進めると、日本の森林が外国資本の投資マネーの受け皿となっている状況がが明らかになってきた。さ らに、日本では林業不振から山を手放したいという地主が増え、中国の投資家に山林を売り込むグループまで登場した。その一方で、日本では、土地の所有権が 極端に強いため、外国人による森林の乱伐や水源の枯渇を食い止める有効な手段がなく、国が進める森林再生事業も進まないという問題もある。山林買収騒動を 通して森林行政のあり方を考える。
記事が書かれたのは5日でクローズアップ現代の放映前。ということで、同じネタを取り上げている朝日Globeの記事「土地争奪」を批判しています。ちなみにクローズアップ現代も朝日Globeの記事も、東京財団の政策提言「『日本の水源林の危機』~グローバル資本の参入から 「森と水の循環を守るには」~」をネタ元にしているそうです。
同エントリーは、(1)中国人が日本の森を買ったという話は確認されていない(北海道の話は香港の投資家)、(2)日本の水を買っても大量に運ぶことは無理。中国の水不足は解決できないと批判しています。
私的に最大の違和感を感じたのは、「日本人が経営すると、林業は利益を出せる目算が立たないのに、外資だと収益を出せるの?」というところ。日本の経営者はそんなにダメなんでしょうか?それとも外資は悪辣非道だから儲けが出せる?日本にも悪徳業者ぐらいごまんといるじゃないですか。
私は素人ですが、林業やっている友人に聞くと、「輸入木材の値段は安すぎて、日本の高労働コストで伐採しても太刀打ちできない」のが問題とのこと。売れる木材を育てるためには山のメンテナンスが不可欠ですが、そのコストすら回収できないために放置されている山が増えているそうで。
現状、中国の安い労働力を大量に連れてくることは(少なくとも合法的には)できないわけですし、外資が日本林業に大挙参入となったら、日本人の雇用も生まれて万々歳ですよね。
もちろん乱伐されたり、水源にいきなりゴミ捨て場とか作られたら困りますが、日本人の悪徳業者にやられても困ることは一緒。結局は、行政が使用目的や森林整備に関する法整備と管理体制を整えることが必要という話であって、外資とは別問題のはずです。
きっちりした体制作りが大前提とはなりますが、「外資怖い」ではなく、「お金落としていってよ~」と呼び込むほうがよくないですか?「外国人が欲しがっている→怖い」じゃなくて、「外国人が欲しがっている→よっしゃー、ばんばん売るでー、儲けるでー、そのための制度作りするでー」っていう発想のほうが健全かなと思う次第です。
People and Horses on a Gigantic Redwood Log; about 1900. / David C. Foster
*一枚目の写真は、写真素材サイト「足成」からお借りしました。