中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2010年09月21日
株式会社アルバックスの呂娟(リュー・ジュエン)理事長は、日中の経済規模逆転が尖閣諸島問題の引き金になったと分析する。40年以上にわたり保持してきた「世界第二の経済大国」の座を中国に譲り渡したことで、日本には納得できない感情がわき上がったと指摘。まだ日本には実力があることを示すために、日本は中国との衝突を選んだと批判した。
日本新華僑華人会の顔安(イェン・アン)副会長は、小泉政権の靖国参拝問題と比較。日本国内でも賛成派と反対派に別れていた歴史問題と比べ、領土にかかわる線核問題では日本全国民の感情が一致していると分析した。すなわち従来の「歴史観に関する争い」から「領土問題に関する争い」にすり替えることを狙っているという。
日本東洋学園大学の朱建栄(ジュー・ジエンロン)教授は、今回、日本が海域主権争いで初めて国内法を適用したことを重視している。日本国内法の適用は占有を実質化するもので、中国に受け入れられるものではない。ゆえに日中関係の衝突は長期的かつ深刻なものになると予想した。日本がこうした強硬な態度にでれば、中国も報復行動にでるのは必然。東シナ海ガス田への掘削機械持ち込みはその表れであり、日本が現在進めている「解決モデル」は決定的に誤ったものと批判、反省するべきだと訴えた。
日本国籍華人聯誼会の張永祥(ジャン・ジーシアン)会長は、「衝突」「交渉」「棚上げ」の3つの手段があると話した。しかし「衝突」は解決につながらず、「交渉」も日中平和友好条約を結んだ福田赳夫元首相のような傑出した政治家がいない今は難しいと指摘。「棚上げ」路線を現実的と分析。日中友好という大局からみれば、いくつかの島の主権争いにとらわれるべきではないと呼びかけている。
日本小肥羊の楊[王昆](ヤン・クン)副社長は、先日日本メディアが報じた自衛隊の尖閣諸島駐屯のニュースを取り上げ、もし実行すれば中国政府、中華民族を刺激することになると警告。日中の軍事対立は尖閣諸島問題解決の手段にはならないと話している。
日中青年文化交流促進会の袁暢(ユエン・チャン)会長は、尖閣諸島問題の解決に悲観的な見方を示している。菅直人首相は市民運動家、草の根政治家であり、国内問題に注目してきた人物。外交と安全保障は盲点になっているという。また北澤俊美防衛相、前原誠司外相は民主党内の対中強硬派として知られていることも不安要因だという。
日本新華僑報の呉暁楽(ウー・シャオルー)社長は、今回の問題は日本がしかけたものだと見ている。今年8月の実績では尖閣諸島海域には80隻以上もの中国漁船が操業していたが、日本は一切の行動をとらなかった。今回の衝突事故は一種の日本式解決モデルを求めてのものだと指摘している。しかし日本の情勢判断は誤りであり、影響は日中関係全体にまで広がりつつあると懸念した。
日本新華僑実業会社の郭均成(グゥオ・ジュンチェン)社長は、小泉政権期の「政冷経熱」(政治の冷却と経済の活発な交流)は日本経済に大きな影響を与えなかったが、現在は大きく情勢が異なると指摘した。もし政治的摩擦が日本経済に影響を与えないと考えているならば、明らかな判断ミスだと話した。先日、中国宝健集団は1万人の日本旅行取り消しを発表したが、これは一つのシグナルであり、観光立国を目指す日本はよく考慮しなければならないと話している。
*上記記事はレコードチャイナに掲載されたものです。