中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
香港・フェニックステレビの取材に答えた陳部長は「(レアアースの)輸出は禁止されていませんし、政府は関与していません。企業家たちが自分たちの感情と事情に従って行動しているのだと信じています」と発言。企業の自発的な活動ゆえに、世界貿易機関(WTO)の規則に違反していないと強調した。
中国のレアアース輸出量は世界の輸出量の97%と圧倒的なシェアを占めている。昨年、中国政府は輸出量制限を発表。2010年の輸出量は最大で3万300トンと前年比40%減にすると通告した。輸出制限に各国は反発。今年8月の第3回日中ハイレベル経済対話でも、日本側は輸出制限緩和を求めていた。
一方で中国以外の国からレアアース調達を目指す動きも広がっている。今年7月、エネルギー政策の専門家であるマーク・ハンプリーズ氏は米議会に報告書を提出した。2009年時点で中国レアアース埋蔵量は3600トンで世界の36%に相当する。一方、産出量は12万トンと世界の97%を占めている。米国は13%、ロシアは19%などレアアースは各国に分布しているが、採掘コストの面で中国に太刀打ちできず、生産していないという。中国の輸出制限で採掘が再開される可能性もある。
また先日、ある中国メディアは、中国の輸出制限がレアアース不足を招いたとの批判は誤っていると批判。正確に言うならば、不足しているのは「レアアース」ではなく、「中国生産の安価なレアアース」だと指摘した。
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尖閣問題を機にお茶の間に知られるようになった中国のレアアース輸出規制問題。実は昨年から輸出規制を導入しており、日中ハイレベル経済対話でも最大の議題になるなど、結構盛り上がっていたお話であります。
上記記事で出てくる陳徳銘部長の発言は、つまり「私はやっていませんよ。下のもんが勝手にやっているだけじゃないですか」っていう意味。ヤクザの常套句であって、国の高官が言う言葉じゃないように思うのですが。まあ、下のものが愛国精神を発露して「勝手に」貨物検査を強化したりしている可能性もあるとは思いますが。
さてさて、「産出量の世界シェア97%を占める中国の怒りを買えば、日本のハイテク産業は壊滅じゃあっ」と煽る声も耳にしますが、そこまでの問題じゃないですよ、と。
そのあたりの事情をブログ「中国がレアアース輸出規制したって怖くない理由 - My Life After MIT Sloan」が詳しく解説しています。中国のレアアースは採掘コストが安いので圧倒的な価格競争力を誇っているだけということだそうで。(*ただし重希土類に関しては状況が違うみたいですが)
それにいざとなれば、第三国経由での買い付けもできるんじゃないかなぁ。レアアースの話題を扱っているワイドショーをちょろりと見ましたが、えらい勢いで扇情的に煽っていて、ちょっと辟易いたしました。
*上記記事はレコードチャイナに掲載されたものです。