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2010年09月28日
ましてや小説は「80後(1980年代生まれ)の愛情、東莞市のサウナ、売春婦の生活を背景に、ユーモアたっぷりに青春の真実と人に知られることのない神秘の世界を描いた」というもの。わいせつだというならば、証拠が必要だろう。問題は誰が小説をポルノと判定するのかという点にある。弁護士の周沢氏は「文学の専門家に判定は任せるべきで、警察が判断するべきではない」と主張する。
実際、東莞市の風俗業はもはやニュースではない。性風俗産業に従事している女性の数は10万を超え、関連産業を追わせた市場規模は400億元(約5000億円)近いとも言われる。興味深いのは東莞市衛生局の金行中副局長のある会議での発言。「(風俗)サウナの客引き携帯メールは、省や市のトップ、さらには中央政府トップの携帯にもたびたび届いているそうだ。もしこのままの状態が続けば私の責任が問われることになるだろう。おまえたちだって逃げ切れないぞ」。と。また近年では東莞市の治安、風俗問題は中央政府も注目する問題になっていたという。しかし、こうした状況があろうとも、元平の小説が真実を描いたことに罪があろうはずはない。
先週、中国青年報はあるアンケート調査の結果を発表した。日常生活で権力乱用を見たこと、体験したことがあるかという問いに95%が「ある」と哀悼した。回答した。うち68%は日常生活において体験した権力乱用は「非常に多い」と回答した。権力の乱用があれば、市民の合法的な権利などあっという間に踏みにじられてしまう。元平の逮捕はその一例だろう。