中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2010年09月29日
こうした状況で、もし米国の安全保障に関する約束を同盟国が疑ったとしても、それは米国政府が自ら招いたものといえる。オバマ政権は台湾に2011年前にF-16C/D戦闘機を売却することはないと通告した。米国の歴代政権はレーガン大統領の「6項目の保証」を守り、武器売却前に大陸政府と交渉することはないと約束していたが、オバマ政権は大陸政府と交渉するばかりか、その圧力に屈し兵器売却を中止したのだ。
また7月23日の東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラムでクリントン国務長官は南シナ海の平和的解決と航行の自由を守る立場を支持すると表明したが、中国外交部の楊潔●(ヤン・ジエチー、●は竹かんむりに褫のつくり)部長はその場で批判。アジア諸国に米中どちらを選ぶかの選択をつきつける事態となった。こうした状況が続けば、アジア太平洋地区における米国の信頼は打撃を被ることになる。
尖閣問題の後、中国本土で「大国台頭論」とナショナリズムがさらなる高まりを見せることになるだろう。ジョージ・ワシントン大学のDavid L.Shambaugh教授は、米中対立が起きれば、中国のナショナリズムはさらに拡大すると懸念を示している。
「大国台頭論」とナショナリズムの蔓延は、中国の態度を規定し、周辺諸国との紛争にひたすら強硬な態度で臨ませる可能性もある。そうなれば、中国は自身が否定する強権国家の道を歩むことになるだろう。
*上記記事はレコードチャイナに掲載されたものです。