中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2010年10月03日
急患船員を東京に緊急搬送=中国大使館が日本側に感謝「対日強硬姿勢も一段落か、ほっ」と思った人が多かったのでしょう。Yahoo!ニュース海外ランキングでは現在(3日午後5時)、この件を伝えた産経の記事がトップ。私も中国関連のお仕事をしている身として、ちょっと喜んだ1人です。
【北京時事】新華社電によると、東京の中国大使館は2日、太平洋を航行していた中国の貨物船で9月30日、中国人乗組員が急病で治療が必要になり、日本の海上保安庁などの支援で東京の病院に搬送されたことを明らかにした。大使館は日本側に謝意を表明した。
*この件を伝えた在日本中国大使館のウェブサイト。
貨物船から救助を求める緊急通報を受け、日本側は海保の巡視船や海上自衛隊の航空機、ヘリコプターを日本から東に約1900キロ離れた海域に派遣。東京の病院に入院した乗組員の容体は安定しているという。
9月7日に尖閣諸島(中国名・釣魚島)沖で海保の巡視船と中国漁船が衝突した後、東シナ海では日中双方が監視を強化するなど、緊張が高まっている。一方で、冷え込んだ日中関係の改善を模索する動きもあり、新華社の報道はその流れを反映したものと言えそうだ。
グーグルのニュース検索でも、百度の検索でも、引っかかるニュースは香港、台湾、米国の中国語ニュースサイトだけ。新華社はおろか中国国内ニュースメディアも報じていない様子。ネット掲示板検索をかけてみると、「河蟹」(「和諧」と似た発音。検閲で削除されたことを指すネットスラング)された形跡あり(例えばこちらのグーグル検索ページ。各ページを開いてもすでに削除済み)。
元産経新聞中国総局勤務の福島香織さんがツイッターで、「軍のやる気満々度と、外交部のそろそろおわりにしたいよ~といいたげな会見のギャップがいまの中国を物語っているような。」とつぶやいていましたが、大使館の感謝メッセージとニュースの検閲から、対日外交姿勢をめぐる中国政府内部の暗闘がぷんぷん匂っている感じです。大使館のメッセージが削除されていないことを考えると……、みたいにいろいろ深読みしたくなりますね。
http://newsing.jp/entry?url=kinbricksnow.com%2Farchives%2F51486367.html