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中国で慈善活動が発展しない理由=お金持ちが憎まれる社会―中国紙

2010年10月09日

2010年10月8日、経済参考報は、著名経済学者・茅于軾(マオ・ユーシー)北京天則経済研究所理事長のコラム「富豪は米国では模範、中国では罵倒の的に=財産があると人に言えない」を掲載した。以下はその抄訳。

先日、ビル・ゲイツ氏とウォーレン・バフェット氏が中国を訪問、チャリティーパーティーを開催した。その目的は中国の富裕層にチャリティーを促すため。中国の高級消費品市場は反映を極めており、高級車、芸術品、高級時計、豪邸は飛ぶように売れている。寄付金を集めることなどたやすいように思えたが、両氏に呼応する人はごくわずかだった。


Rolls-Royce Phantom LWB China Limited Edition * Emperor / jiazi

その原因はなにか?中国の富裕層がケチだからだろうか?それは違う。米国では財産は成功のシンボルであり、富裕層はみなが学ぶべき模範である。一方、中国の富裕層は罵倒の対象であり、搾取者の典型として見られる。慈善活動をすることで名誉が得られる米国とは違うのだ。ならば慈善活動など行わず、富を隠すほうが賢い選択となる。

こうした状況はすぐに変わることはないだろう。では中国の慈善活動に未来はないのだろうか。私は一般市民による慈善事業こそ中国の選択だと考える。実は米国でも慈善活動に取り組んでいるのは富裕層だけではない。多くの一般市民の力に支えられているのだ。慈善はもはや日常生活の一部であり、そのために支出する費用は衣食住同様、必要な出費と考えられている。もちろんそんなに多額の金額を費やしているわけではない。世帯収入の1~3%といったところだろう。しかし人々の慈善金を合わせれば、膨大な額になる。

映画俳優ジェット・リーが提唱する壱基金は、毎月1人1元(約12.3円)の寄付を呼びかけているが、中国の国情にあった方法ではないだろうか。現在、同基金の認可問題をめぐってトラブルが起きているが、その背景には国家が慈善事業を独占しようとする狙いがある。しかし政府が慈善事業を主催すれば、往々にして問題が発生する。こうした政府の動きが中国慈善事業の発展を阻害するものとなるだろう。

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中国には「仇富」(富裕層憎悪)という流行語(?)もあるぐらい。成功者の自伝が大ヒットしたり尊敬したりというケースももちろんありますが、それ以上に憎まれているケースが多いかもしれません。しかし、それは上記記事が述べているような中国社会の土壌というわけではないように思います。

中国のお金持ちの多くは、改革開放のどさくさにまぎれ、官とのコネを生かして一財産築いた人間。智慧と勇気でお金持ちになった、尊敬すべき人とみなされなくとも仕方ないんじゃないかなー、と。汚職と腐敗がもう少しなくなるまで、「仇富」感情は消えないでしょうね。

*記事についての情報や間違いなど教えて頂けると大変助かります!コメント欄か、メール(kinbricksnow●gmail.com、●を@に変えてください)でお願いします。

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