中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2010年10月16日
今年9月18日の柳条湖事件79周年の日本大使館前デモは大々的に報道されましたが、参加者は数十人だったとか。参加者及び報道面での9月18日との違い。日本領事館がなく、かつ外国特派員が少ない地方都市でのデモだったこと。きわめて重要な第17期中国共産党中央委員会第5回総会(5中全会)の真っ最中といった事情を考えると、中国政府が指令を下した官制デモという線は薄いように思えます。
そも、2005年の反日デモが盛り上がりすぎて、体制批判につながりかねないとの懸念が生じて以来、中国政府は今回のような暴動じみたデモを禁じてきました。2008年のチベット暴動から聖火リレー妨害事件へと続く一連の「中国人による愛国心発露ショー」においても、あくまで暴発を避けるよう対策がとられていたという印象です。
だとすると、何がデモの原因だったのかということが気になるところ。中国政府内部の権力争いという線、若人たちの盛り上がりを察知できなかった地元警察の失態(笑)、あるいは私の読みが思いっきり間違っていて、軽くデモさせて報道するつもりが爆発的な規模になったので政府が態度を変えて報道しないことにしたとかいろいろ考えて見たのですが、まあ本当のところはわからないですね。
ただ、自国政府嫌いの中国ツイ民が「中共や、中共のしわざや」と騒ぐのはよく理解できるし、そういうネタをもてあそんでギャグを飛ばす世界なので、さもありなんというところ(本ブログの過去記事「Kinbricks Now:尖閣は日本領?それとも中国領?領有権を確かめる31の方法―中国の政治ジョークをご紹介」や連載「中華のつぶやき」をみていただくとノリがわかるかと)。ただ、日本のツイ民までそのノリにつきあう必要は必ずしもないわけで。冷静に状況を見ていきたいなと思っています。