週末の過ごし方といえば、やっぱり流行りは反日デモですね。
というわけで、23日、24日のデモについて。
*尖閣防衛に立ち上がった「謎の人気アイドルangel girl」(笑) ブログ「ぺきん日記」が紹介してます。習近平の中国共産党中央軍事委員会副主席就任絡みの権力闘争が背景にあるのならば、今週はきっちり取り締まって事件が起きないのではとの私の読みはばっちり外れ、今週末もデモが起きております。23日は四川省徳陽市。24日は甘粛省蘭州市と陝西省宝鶏市にて。中国語ツイッターには四川省綿陽市江油市でもあったとの書き込みがありましたから、報道されていないデモもまだまだあったんじゃないかと。まあちょこっと人が集まってスローガン叫べばデモですから。
で、今週、何よりも興味深かったのは、以下2点。第一にデモに政府批判のスローガンがでたこと。
中国の甘粛省蘭州市と陝西省宝鶏市で24日、それぞれ数百~1000人規模の反日デモがあり、若者らが「釣魚島(尖閣諸島)を守れ」「日本製品ボイコット」などと叫んで市内を行進した。両市ともインターネットで事前にデモが呼び掛けられていた。
宝鶏のデモでは参加者が反日スローガンを叫ぶ一方で「官僚腐敗に反対」「住宅価格高騰を抑制しろ」などと政府批判の横断幕も掲げており、中国で深刻化している収入格差の拡大や汚職への不満が強いことをあらためて裏付けた。
「腐敗反対」「住宅高騰抑制しろ」中国反日デモに政府批判も - MSN産経ニュース
他にも「多党制を推進せよ」とか、「馬英九アニキ、中国本土人民はあなたの帰還を歓迎する」といった危険すぎる標語もあったとのこと。いやはや、これはもう統制を離れて完全に暴走してますね。
で、ここまで暴走するのも宜なるかなと納得させられたのが第二のポイント。すなわちデモ参加者の多くが中高生だったという点です。
*テレ朝のニュース。「中学生が中心」と言っているけど、「中高生」の誤訳じゃないかな……。中国語では初級中学(日本語の中学)、高級中学(高校)合わせて中学と呼ぶので。この週末、デモ参加者を出さないようにするため、急きょ中国の学校では授業が行われたそうですが、大学だけではなく、小中高も授業を組んだとのこと。おいおい、と思っていたのですが、そのあたりの状況を当局は正確に把握していたということでしょう。中国語ツイートでも先週、綿陽市で捕まった80人余りのうち、大学生は1人だけ。中高生が16人という話が出ていました。
ピュア・ハートの持ち主たる(?)中高生の心に火がついてしまったので、権力闘争という目的を達成した後もなかなかデモが止まらなかったという感じなのでしょうか。「90後」(1990年代生まれ)の彼らは、チベット暴動後のフランスバッシング、四川地震ボランティア、北京五輪への支持などで「ピュア愛国心」を発揮していた世代。それがまじめに反日、そして政府批判に心が向かったとすると、結構やっかいそうです。
いや、まじめにデモするとこういうことがおこりかねないというのが2005年反日デモの教訓だったはず。権力闘争だったにせよ、日本バッシングが目的だったにせよ、デモを企画した偉い人は民草の不満を読み違えていたというか、甘く見ていたというか。ともかく切腹物の失態ではないか、と。
(Chinanews)
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