中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2010年10月29日
次期5カ年計画策定にかかわった清華大学の胡鞍鋼(フー・アンガン)教授は、「強国」から「富民」へと中国政治指導者の統治理念が転換したことを意味する
と説明した。1954年、毛沢東は強大な社会主義工業国の建設を呼びかけたが、トウ小平時代にいたって「小康社会」(衣食住が一定水準に達した社会)を目
指す「富民」の目標が掲げられた。そして、次期5カ年計画では「富民を達成して始めて強国となりうる」とさらにこの思想が徹底されたという。
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胡錦濤時代が到来した時も「経済重視の江沢民時代で開いた格差を手当てすることが課題だ!」なんて言われていた記憶がしますが。「和諧」(調和)というキーワードももともとはそういう意味のはずだったのですが、気づけば「和諧」はネット検閲による削除をを指すネットスラング「河蟹」(和諧と似た音)になっていたり。
格差、汚職、低所得層の収入引き上げ、医療保険、年金。このあたりは絶対に取り組まないといけない問題なので、そりゃまあ目標には書き込まれるでしょうなぁというのが素朴な感想。問題は具体的に何するのか、利益集団の抵抗をはねのけてできるのかにかかっているわけで。
第12期5カ年計画は最初の2年が胡錦濤、その後の3年を習近平が受け持つわけであります。これまでうまくできなかった胡錦濤はもとより、共産党元勲のパパを持ち、共産党指定の財界人と仲良しグループ(太子党)に所属し、財界とのつながりが強い江沢民グループと近い関係にあり、軍部と太いパイプをキンペーに、そんな改革ができるわけないだろ、と思ったり。
第13期もきっと「市民生活向上!」みたいな文言が組み込まれ、「大転換やでー」と騒がれるんじゃないかなぁ、と早くも5年後を予想してみました。
*上記記事はレコードチャイナの許可を得て転載したものです。