2010年10月30日、黒竜江省密山市で、強制土地収用に抵抗した崔徳喜さん(56歳)が自らの体に火を放つ事故が起きた。
屋根に上った崔さんは、周りを取り囲む強制取り壊し部隊に取り壊しを強行するならば焼身自殺するぞと威嚇していたものと思われる。そして本当に火を着ける大惨事にいたった。老人は命を取り留めたものの、両手と顔に重傷を負った。

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網易の写真報道。
老人が体に火をつける衝撃の映像は動画共有サイトに公開され、1日で40万アクセスを集めるなど、大きな反響を呼んだ。周りを取り囲む当局関係者が全く助けるそぶりを見せていないことも非難の対象となった。
11月1日、環球時報はこの事件について報道している。事故が起きたのは密山市平安家園小区。2008年、旧市街地再開発のため、45世帯の土地収用が決まった。しかし、うち9世帯が補償金額で折り合わず、交渉が難航していたという。
事故が起きた10月30日には、密山市の金香蘭副市長が警察、裁判所、紀律検査委員会、国土局、建設局、計画局、消防隊など多くのスタッフを引き連れ、現地を訪問していた。その目的は「説得」だったと強調している。
結果、60万元(約720万円)の補償金で立ち退きに合意したが、崔さんは現金をこの場に持ってくるよう要求。この時、可燃性の液体を体にかけ、ライターを灯し火を着けると脅していたが、手が滑って本当に引火してしまったと報じている。

強制土地収用と戦う白虎頭村村民の記事でも報じたが、「それ以上追い詰めるならば、死を持って抗議する」というのは、弱い立場に置かれた中国の人々にとっては最後の手段。今年9月、江西省撫州市宜黄県では、やはり強制土地収用に抗議しての焼身自殺事件が起き、県政府トップが罷免される騒ぎとなった。
「説得」のために警官や消防隊が現地に詰めかけ、「交渉には合意」したものの、不注意で体に火を着けてしまった。環球時報が伝えたこの報道をどうもそのまま受け取れないのは、私だけだろうか?
(Chinanews)
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焼身自殺はとんでもなく苦しいと聞いています。火傷よりも空気が遮断されるし、肺も焼ける。生半可な意志ではできないと聞きます。それを勢いだけでやるのですから、中国人も本人が一番びっくりすることでしょう。