10月30日付「
立ち退き拒否住民宅を「城攻め」=周囲の整地強行、窓に残る弾痕―雲南省昆明市」の続報です。
查看大图*地図。ピンが立っているのが李家堆。そのすぐ北側が趙家堆。整地される前の写真と思われるが、住宅地が立ち並ぶ地域。事実上は農村ではないが行政的には農村扱いの「城中村」となっていた。
11月1日付鳳凰網の記事が状況を整理していますので、まずその紹介を。
10月31日、趙家堆村はもはや村の姿をとどめていなかった。もともと数百戸あった住宅は取り壊され更地に。その周囲は高さ2メートルもの壁が張り巡らされている。残るのは2棟の住宅だけ。その一人、趙興(過去記事では「趙進」(仮名)だった人)さんは妻と83歳になる母親と3人で過ごしている。
*83歳の趙さんの母親。深い溝を超えられず、外出できなくなってしまった。2009年末に趙家堆の取り壊しに関する公告を見た時、趙さんは大変喜んだという。「城中村」(市部に組み込まれた農村区画)の暮らしは不便と感じていたためで、補償金額にさえ合意できればいいと考えていた。しかし結局合意することはできず、「釘子戸」(立ち退き拒否戸、釘で打ちつけられたように動かない住民の意)となった。

10月14日以前も水や電気が断たれたりの嫌がらせはあった。しかし、14日以後の嫌がらせはとても許せないものだった。14日早朝、レンガを投げつけられ、窓ガラスを割られた。門は針金で縛られ開けられないようになっており、さらに門の上には大便が捨てられていた。
18日、今度は家の周囲に幅3メートル、深さ2メートルもの溝が掘られた。その後の雨で水がたまり、「お堀」となってしまった。27日には銃撃され、窓には弾痕が生々しく残っている。

*投げ込まれた蛇。殺されてしなしなになってる?
趙さん以外の立ち退き拒否戸口も嫌がらせを受けている。張偉さんの家には19日、十数匹もの蛇が投げ込まれた(斉魯熱線)。李家堆の曹武さんは29日、土地収用関係者に暴行を加えられ血まみれになった。その様子を撮影していた曹さんの妻のカメラも取り上げられ、破壊されたという。(雲網)

こうした状況がネットを騒がせ、強引な土地収用に批判が集まったことによって、土地収用側も方針を転換したという。30日、取り壊し方、投資者、昆明市五華区当局の関係者が手土産をもって趙さん宅を訪問。非礼をわび、同日中に溝を埋め、電気と水を回復させると約束したという。実際、30日夜にはトラクターで住宅の周囲の「お堀」は埋められた。

*意味深に置かれているガスボンベ。自爆用の武器だろうか?
趙さんは「土地収用そのものに反対しているわけではありません。国有地、そして第二環状線内部の土地の補償基準に従って欲しいだけで、『釘子戸』になるのは本意ではありません」と話している。
前回もちょろっと書いたのですが、ポイントは「城中村」。村が所有主という集団所有制がしかれている地域であること、都市部に飲み込まれるに連れ認可を得ずに立てられた建物がぼこぼこできたなど、法的にきわめて混乱した状態に。ネット辞書・百度百科の項目「城中村」に詳しい補償規定が載っていますが、この通りに思考するのはきわめて難しいのではないか、と。趙さんの家も6階建てということですが、貸し屋にしていたのか、なんなのか、ともかくきっちりとした法的認可を受けていなかったんじゃないか、と。
杓子定規に農村、城中村の土地収用補償金規定に従った金額しか払わないという当局と、「第二環状線内部の通常の都市用地に準じた補償金をくださいな」という住民たちのバトルなのでしょう。結局、メディアとネットに訴えた住民たちの戦いが功を奏して勝利を収めつつあるといったところでしょうか。
(Chinanews)
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