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エコが招いた「軽油不足」?!「突撃的電力供給制限」に に見る社会主義経済の凄まじさ―中国

2010年11月07日

今回は中国各地で深刻化している「軽油不足」をご紹介します。地味な話題のように思えますが、いや、実はその原因は「エコ」だというお話。「突撃的電力供給制限」という不思議な単語も登場するのですが、いや、これがなかなか面白いのです。2010年11月6日付新華網を参照しました。


月底的盛況 / 噴屎


北京市、上海市、重慶市、大連市、合肥市、武漢市……。中国各地で軽油不足が深刻化している。民営ガソリンスタンドの多くには「軽油売り切れ」の看板が掛けられている。中国商業連合会石油流通委員会の調査では、中国南部の民営ガソリンスタンド2000店が、燃料不足のために営業停止に追い込まれたという。南京市の添力ガソリンスタンドの王店長は「第一に正規ルートで入荷できないこと。第二に精錬工場の出荷書くが高すぎることが原因です」と話す。現在、軽油1トンあたりの卸売価格は7800元。一方で小売価格は7475元と仕入れ値を下回っている。


澄清湖加油站 / nicole.hung616

今年8~9月に大手製錬工場が相次いで改修を実施したことが軽油の供給不足につながった。また軽油在庫を確保しようという動きが強まったことが需要増につながったと分析されている。

一方で、専門家の多くは一部地域の「突撃的電力供給制限」が軽油不足につながった可能性を指摘している。今年終了する第11期5カ年計画では、単位GDP当たりのエネルギー消費量を20%削減することを目標に掲げている。今年5月初頭に発表された『国務院によるさらに一歩活動の力を強め第11期5カ年計画での省エネ温室効果ガス削減目標を実現することに関する通知」では、2010年末を目標達成の期日と定めている。

目標を達成するため、一部地域では企業に対する電力供給をストップ。工場の生産ラインが停止したところも少なくない。どうにか生産を維持しようと発電機を購入。軽油を購入する企業も現れ、燃料の奪い合いが始まったと見られている。

・省エネ目標達成できないよ~。今からプリウス買っても間に合わないよ~。



・絶対に達成出来るようにしてやるぜ。うりゃ、停電。はっはっはっ、電気が使えなきゃめちゃくちゃエコじゃん!


という斜め上の発想。これが実現できてしまうところが社会主義の素晴らしさですね。地方官僚にとっては自らの功績を挙げることが何よりも大事。まずは「省エネなんかこまけぇことはどうでもいい。GDP上げられる企業をばんばん誘致や」とやっておいて、省エネ目標がやばいとみるや「民間企業の都合なんか知ったことか!強制停電してでも、『省エネ』や!」と転換した、と。

まだあくまで専門家の予測に過ぎませんが、1~2か月すると消費電力量や工業生産付加価値総額が発表されます。11月、12月にびびるぐらいの落ち込みがあるかもしれないですね。

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