尖閣沖衝突ビデオを流出させたSengoku38氏を罪に問うべきや否や?!テレビでもネットでもこの話題が注目されているようで。私は単純に「
内部告発者が守られる社会であって欲しい」ということだけを願っていたのですが、頭のいい人々がいろいろと議論を展開していると、「これも一理、あれも一理」と乙女のように心が揺れ動いている次第。

Anti-China protest in Roppongi / ehnmarkそういうわけで、びしっと快刀乱麻の論などとてもとても展開できないのですが、中国ネタに足を踏み入れている立場から、ちょっと
議論の材料を提供させてもらおうかと。というわけで、Sengoku38逮捕問題に関する中国ツイ民のつぶやきを2つご紹介。
尖閣衝突事故ビデオをアップロードした人物に関する情報をグーグルが当局に提供した問題について。その悪影響は一人の日本人が逮捕されたことにとどまらない。むしろひどい前例を作ってしまったことにある。今後、グーグルの海外子会社は現地政府のユーザー情報公開の要求に直面することになるだろう。なぜならば、それらのユーザーもあの日本人同様、「現地の法律に違反している」からだ。
Sengoku38氏に関するグーグルの情報開示。
例えば中国の民主派運動派が「現地の法律に違反している」(中国の検索サイトで、一部結果が検閲されていることを教えるメッセージ)場合、グーグルはユーザー情報を差し出さねばならないのではと懸念しています。
このツイ民の不安は決して杞憂ではなありません。2007年、中国政府の内部文書を国外の民主活動家にヤフーメールで送った中国のジャーナリスト・師涛氏が逮捕されましたが、その際、米ヤフーは中国政府の求めに応じて、情報を提供しています(
参考リンク)。
では、もう一つのつぶやきを。
勇敢なSengoku38さん、あなたは何も間違っていない。悪いのはあなたを捕えたバカどもだ!我々には真相を知る権利がある。日本人であれ中国人であれ。同じ時期に「お茶を飲まされた」(警察の取り調べを意味するネットスラング)身として、私はあなたの側に立つ。頑張れ!
こちらは、ツイッターで「26日にもし重慶でデモがあったら、『おめでとう!暁波おじさん』っていう横断幕を持っていくよ」(暁波とはノーベル平和賞を受賞した劉暁波氏のこと)とつぶやいて、警察に「お茶を飲まされた」中国ツイ民のつぶやき(
本ブログ過去記事)。
「悪法も法なり」的な、「機密保持違反は事実なのだから、法に従い処罰するのがジャスティス」という話もわからないではないのですが、その言葉、中国の人にはちょっと言えないですよね。中国ではつい先日、ある人物に「法に基づいて」実刑判決が下されたばかり。
中国で約30万人に被害が広がった汚染粉ミルク事件で、被害者家族代表として政府に補償を求め、騒ぎを起こしたとして社会秩序破壊の罪に問われた趙連海氏(38)に対し、北京市大興区人民法院(簡裁)は10日、懲役2年半の実刑判決を言い渡した。
弁護人は「判決は重過ぎ、不公平だ」と述べ、控訴する意向を示した。初公判で「消費者として正当な権利だ」と無罪を主張していた趙氏は判決後、手錠を掛けられるのを拒み、係官によって廷外に連行されたという。
汚染ミルク被害者代表に実刑=社会秩序破壊罪で判決-中国
「政府に補償を求めるという社会秩序破壊の罪」を行った趙氏は、やはり「悪法も法なり」原則に基づいて処罰するべきでしょうか。それとも、独裁国家の中国と日本を同じ土俵で議論するのが無意味なのかな。
うー、難しい話ですが、どう思われます?
(Chinanews)
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<過去記事>
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