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船舶300隻が閘門を占拠、投石など暴徒化も=もめ事解決を暴力に頼る中国社会

2010年11月16日

本ブログはこれまで何度となく土地強制収用に抵抗する村民の暴動などをお伝えしてきたわけですが、今日ご紹介する記事は一味違います。水上での抗議活動、しかも相手は公権力ではなく、民草VS民草という構図になっております。

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*写真は揚子晩報の報道。

南京六合紅山窯閘門(水位差のある運河で船を移動させるエレベーターのようなもの)は、六合滁河と安徽内河が長江につながる唯一の道。しかし、2010年11月13日早朝より、300隻以上もの船が水門前に並び、通行できない状態が続いていた。15日、揚子晩報が伝えた。

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写真は紅山窯水利枢紐管理所ウェブサイト

閘門を塞いだのは、安徽省など遠隔地所属の船舶。現地船舶との不平等な扱いに怒っての行動だという。現在は鉄鉱石運搬のピークであり、また水量が少ない時期でもあるため、閘門は大変な混雑となっている。数日間も待たされることもあるという。ところが順番待ちが必要なのは遠隔地所属の船舶だけ。現地の船は我が物顔で順番を無視し、閘門職員もそれをとがめようとしない。

もっとも現地船舶にも言い分がある。「特権」は閘門建設にあたって現地住民が土地や資本を提供するなど貢献したことの見返り。現地船舶の数は約80隻。閘門を通過するのは日に4隻程度と少ないこともあり、この10年弱の間、「特権」が認められてきたという。



しかし、混雑がピークに達する中、遠隔地所属船関係者の怒りが募り、今回の抗議活動につながった。現地水上警察、海事局、閘門関係者は抗議活動を続ける船
民と交渉したが合意はできず。それどころか現地船舶に投石する騒ぎにまで発展した。数隻の船舶の窓ガラスが割れたほか、投石をかわそうとして転倒した女性
船員が複雑骨折している。



16日付現代快報によると、当局の仲介の下、現地船舶は「特権廃止」に同意。遠隔地船舶側も抗議方法が適当ではなかったことを認め、双方は和解した。その後、閘門の航行は回復している。

というお話。

まあ、よくある暴動じゃないのと思われるかもしれませんし、確かによくある話なのですが、民草VS民草という構図を見ると、中国史をかじっている人間としてはついにやにやしてしまうところがありまして。中国には「械闘」という言葉があります。村同士、一族同士が水争い、土地争いなどにより、武器を取っての殺し合いをすることを指すのですが、今回の事件も一種の械闘と見ることができるんじゃないか、と。

民間の紛争が暴力的に解決されるというのは別に中国に限ったことではないのですが、近代以後は全ての暴力装置は国家が所有することで、こうした問題は法を通じて解決しなさいよというのが原則。その例外的存在が暴力団、マフィアと言うことになるでしょうか。

ですが、中国ではいまだに民事紛争の解決手段として暴力が用いられることが多々あります。病院の治療ミスで患者が死亡した場合、遺族の親族郎党が殴り込みをかけるとか。その背景には司法への不信感もあったり。「法治ぷりーづ」という民主化運動のスローガンはたんに政治領域にとどまるものではなく、こうした日々の生活における問題なのかなと思う次第です。

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