上海高層マンション火災について、今回はちょっと「イイ話」を2つご紹介しようかと。
最初の話はこちら。
18日付現代快報の報道。
*写真は現代快報の報道。15日のマンション火災現場の写真で、一頭の犬の写真がネット民の感動を呼んだ。午後、火災が起きてからと言うもの、
この犬はずっと現場付近を落ち着かないようでうろうろ。数時間後、疲れきったように道路脇にへたりこんだが、それでも現場付近を離れようとしない。
どうやらマンションに取り残されたご主人様を心配しているようだ。親切な消防隊員が防寒用の布と食事とを持ってきたが、犬は食べようとしない。泣いているかのようだった。近所の住民が犬を引き取ろうとしたが、体に触られると歯をむき出して怒り、その場を離れようとしなかった。少し休むとまたマンション付近をうろうろとし始めた。そのうちに犬のパニックも薄らいできたようで、ある消防隊員がその犬を引き取り、連れ帰った。
翌16日、ネット掲示板にこの犬の話が書き込まれた。複数の掲示板に書き込みは転載され、話は広がっていった。
まるであの「ハチ公」のようではないか。ご主人様がいるマンションを見つめ続ける、この犬は「守望犬」(見張りの犬)と名付けられた。
そして17日、ついに犬の主人が見つかった。
*写真は犬とご主人様の再開を報じる新聞。引き取られた先の消防隊員の家では元気がなく食事もとらなかったが、
ご主人様の姿を見ると大喜び。一目散に駆けだして行ったという。
ええ話やー。
で、2つ目。
火災に見舞われた高層マンションに住む呂さん。父は95歳、母93歳の高齢だ。午後火災が起きると、呂さん一家はまず母親を連れ出した。幸いにも部屋は7階。火元の10階よりも下にある。だが、もたもたしていれば、火はすぐにこの部屋にもやってくるだろう。

*写真は新民網の報道。
困ったことに父は長年病に伏せり、寝たきりの状態にあった。家族だけでは連れ出すことは困難だったかもしれない。それを助けてくれたのがボランティアスタッフだった(どういうボランティアかについての記述はないが、恐らくは上海万博向けに各地域に配備されている道案内などを担当するボランティアと思われる)。午後3時、ボランティアスタッフがおんぶしてマンションからの脱出に成功した。
16日、前日の火災を振り返った呂さんの夫は何度も嗚咽した。呂さんは泣きながらこう言った。今回、政府はよくやってくれました。火事が起きた1時間後には、私たち家族にホテルがあてがわれていたのです、と。
16日、新民網が伝えた。
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というわけで、2つの「イイ話」をご紹介しました。
火災については、消防の遅れだとか、現場の安全基準不達だとか、嫌な話ばっかり。こういう「イイ話」があるとほっとしますね!
と素直に受け止められないのが中国メディア。四川大地震など災害や事件が起きるたびに人々の心は傷つくわけですが、それを埋め合わせるかのようにこういうイイ話がメディアにばらまかれるわけでして。大事件のたびにこういうことが繰り返されると、「イイ話」を聞いても、政府の失敗を覆い隠すために流されている話じゃないの?!と疑うようになってしまいました……。
(Chinanews)
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