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「外から嫁を連れてこい!」現地政府が奨励金=滅びゆく少数民族の伝統―中国・貴州省

2010年11月18日

2010年11月17日、成都商報は、貴州省黔南プイ族ミャオ族自治州茘波県瑤麓ヤオ族郷政府の奇妙な政策について報じた。他地域の女性と結婚した場合、1000~3000元(約1万2000~3万6000円)の奨励金が与えられるという。


yao girl playing tops / Rex Pe


瑤麓ヤオ族郷の人口はわずか1520人。中国の少数民族・ヤオ族(ウィキペディア)に分類される青ヤオ族の居住地である。青ヤオ族は洞窟葬や結婚の風習、「狩猟の舞い」など今なお古い民族文化を伝えており、貴州省初の無形文化遺産に指定されている。


yao costume seen from the back / Rex Pe


11月12日、同郷政府は昨年末から今年にかけて他地域の女性と結婚した若者3人に3000元の奨励金を与えると発表した。奨励金の根拠となっているのは、昨年9月発表の通知。他地域の女性と結婚した場合、最初の5人には3000元、次の5人には2000元(約2万4000円)、その次の5人には1000元(約1万2000円)が与えられるとの内容だった。現地住民の平均年収は2000元程度。年収1年半分に相当する「大判ぶるまい」となった。


yao kids playing / Rex Pe


青ヤオ族には「一族以外の女性は娶らない、一族以外の男性の妻にはならないという風習がある。昨年の通知まで、青ヤオ族の男性が他地域との女性と結婚した事例はなかったという。一方で女性たちは過去の風習にとらわれないようになった。ここ数年では女性のほぼ50%が他地域の男性と結婚している。こうして青ヤオ族の男性は結婚相手を失い、独身者が急増。深刻な社会問題になっている。それに伴い、子どもの数も減り、昨年は小学校の新入生募集も停止された。

というお話。田舎の非常に閉鎖的な少数民族の話ながら、そこそこ話題となっているよう。「嫁さん見つけて金もらえるのかよ!」というやっかみ的な反応もあれば、民族内での結婚と民族外での結婚とで待遇をわけるのはいかがなものかというご意見も。

後者は荊楚網に掲載されたコラムの意見。「こんな制度を導入しても、結婚して奨励金をもらって離婚する輩を増やすだけだ」と一喝。「そも問題の根本は一族外の人間と痛恨しないという封建的風習にある」ので、啓蒙活動を通じて伝統を変えよとの仰せ。

このコラムのいうことはもっともだとも思いつつも、その選択肢は閉鎖的であるゆえに守り続けてきた民族の伝統、風習を失う道。迫り来る近代を前に、伝統をいかなるものとして扱うか?という世界各地で問われ続けている問題でもありますね。

ちょっと興味深いのは、「一族外との婚姻を禁じる」という風習を女性のみが破っているという点。男性よりも伝統に縛られない柔軟な思考があるのか、村の伝統に不満を抱いてきたのは主に女性だったのか、それとも女性であること嫁不足の中国では高い価値を持つが閉鎖社会から飛び出すリソースとなったのか。詳しい話が知りたいです。誰か、調べてきて(笑)。

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