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・国務院調査グループが17日、事故原因の調査結果を発表した。上海市政府は無資格者による電気溶接工事が原因と発表していたが、それ以外にも問題はあった。「違法な下請け体制」「大量の可燃物の使用」「混乱した管理体制」が事故の原因である。事故は完全に防げたものだった。ポリウレタンフォームというのは大変可燃性が高く、危険な物質とのこと。2008年、40人の死者を出した韓国冷凍倉庫火災もポリウレタンフォームの燃焼が原因だそうです。日本でも燃えやすい断熱材が使われていたりしますが、一応、難燃性を高めるための処理がされているはず。そのあたりの違いもあるのかもしれません。詳しい人いたら教えてください。
・現場の作業は下請けに任され混乱。工期を急ぐあまり安全対策が無視されていた。また大量のナイロンネット(おそらく防塵用の網かと)やポリウレタンフォームなどの大量の易燃性材料があったことも火のまわりを早くした。
・新華社の報道によると、中国公安部消防の朱力平副局長は取材を受け、外壁にはポリウレタンフォームが使用されていた。この素材は燃えやすく、しかも燃焼すると青酸ガスを発生させる。2008年、広東省深圳市のナイトクラブで起きた火災でもポリウレタンフォームポリウレタンフォームが燃焼し、火災発生から46秒後にはフロアに有毒ガスが充満。44人が死亡している。
・朱副局長は、ナイロンネット、可燃性の足場(竹の足場)、ポリウレタンフォームの断熱材使用禁止を提言。
こちらは新浪微博に流れていた下請け体制の図式。静安区建設総公司が3500万元(約4億3000万円)で工事を受注。で、その下の「上海佳芸建築装飾工程公司」に工事を投げたとのこと。ここで金額は1200万元(約1億4400万円)に。って中抜きしすぎ!しかも受注に当たっては公開入札がなかったそうで。政治力だけでお仕事が決まる世界というやつでしょうか。
で、この「上海佳芸建築装飾工程公司」も従業員50人程度の会社でしかない。ので、下請け、孫請けに工事を放り投げていたとのこと。で、投げられていき投げられていき、最後に出稼ぎ農民がお仕事。「無資格者による電気溶接」をやっていたというお話だったようで。
4億円払ってばっちし工事をしてもらっていたつもりだったが、気づいたら出稼ぎ農民のおっちゃんが資格もないのにばちばち溶接していた……
結局、工事を受注できるかどうかは政治力。受注してしまえば、後は下請けに放り投げて終わりよという素晴らしい建設会社様の姿が見えるようであります。
もっとも今回の筋書きは国務院調査グループが描いたもの。消防の遅れ、ヘリでの救援が無理だったのか、などなど当局の責任について触れていないのはちょっとひっかかるところ。中抜きしていた企業をいけにえにして、中央政府、市政府への批判をかわしたと深読みするのは、意地が悪すぎるでしょうか?