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自己紹介、そしてあこがれの先輩「完璧さん」登場―中国人オタク新入社員の日系企業奮闘記<2>

2010年11月19日

四川省成都市在住の中国人・Nightjojoさんから投稿をいただきました。
今年6月に大学を卒業したばかり。現在は日系企業で研修中。中国人の目から見た日系企業というのはなかなか貴重な読み物だと思います。前回の記事も結構な反響をいただきました。

今回の記事は前回の続きの場面からスタート。日本人は時間に厳しいと聞いたNightjojoさんが研修初日、予定時間の2時間前に教室に到着した場面です。(Chinanews)


Project 365: #57 / RobeRt Vega

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渡されたテキストは、2年前に日本語を独学で勉強し始めた時に使った「中日交流標準日本語」。しかも古い版です。暗誦できるほど読み込んだテクストですが、なぜか今めちゃめちゃ真面目に読まなければいけないはめに。まあ、見る人が見れば、真面目なふりをしているだけと一目瞭然でしょうが。

なぜこんなアホくさいことをしているかというとですね、今の情況を説明させていただきます。

時計の針は9時半に指していますが、教室に居るのは私と先生の2人だけ。朝7時半の到着から早くも2時間が過ぎようというところです。

1メートル離れたところに座っている先生は、デスクトップパソコンをずっと見ていて、私に話しかけるどころか、見ようとすらしません。ディスプレーの光が邪魔して、表情を読み取ることもできない始末。

この間の沈黙は実に痛かった。

大学生の時も朝早く学校に来て、教室の前で本を読むことがよくあって、ドアのカギを開けにくるおばさんに怪しげな目で見られて来ましたが、今日ほど早く到着したことを後悔したことはありませんでした。

自分がどんどん小さくなっていると感じた時、ノックの音がしました。その単調な響きが、あたか美しい音楽のように聞こえる日がついに私にも来たみたいです。 入ってきたのはこの前一度話したことのあるCさん。心の中で神様への感謝の言葉を繰り返しながらCさんに挨拶しました……。

10時、ようやく教室の椅子が埋まりました。

先生は椅子から立ち上がって、みんなに自己紹介を始めました。一切表情を変えていませんが、私と話していた時よりも早口で喋っています。その速さでは訳すど ころか、聞き取ることすらできません。しかし、分からないとはいえ、あとで私が中国語に訳す時、なにも言えないのは厨二病的には我慢なりません。そこで、 自分にしか分からない英数字を駆使した謎の略語でメモを取りました。「日本語で速記できる程度の能力が必要かな」とか、「速記に一番ふさわしい符号は英数字でしょうね」とかどうでもいいことを考えながら。

自己紹介が終わった先生は、「訳しなさい」と私に目で合図してきました。
メモを見て、記憶に残っている先生の言葉を思い出し、さらに脳内補完を加えて、辛うじてみんなに概要を伝えました。私なりに頑張ったと思うのですが、訳し終えて先生を見ると、頭を横に振っています。そして、私の後ろに座っている人に、代わりに訳すよう言いました。

その人は訳は正しく、しかも流暢です。完璧と言ってもいいほどでした。一体何者ですか、この完璧さんは?なにかが壊れた音が聞こえてきました。それは、私の安いプライドだと思います。(一応)日本語一級の持ち主としてのプライドががらがらと壊れる音。私に訳させたのは、何の意味があったんでしょうか?

それでも、授業は続きます。先生の自己紹介の後は、私たち研修生が自己紹介する番です。日本語のできない人は中国語で、私と今の「完璧さん」は日本語で。トップバッターは予想通り、「完璧さん」です。

自己紹介で分かったのですが、彼はなんとここでたった1年勉強しただけで、一級に合格。その上、国家留学生資格まで取得して、これから九州大学博士課程を受験するのだとか!しかも、日本の教授とテレビ電話で面接して、かなり高い評価を受けたそうです。道理で日本語がぺらぺらなわけだ。それに博士受験っていったら、年齢的にも大先輩じゃないですか!

日本人なら先輩と呼ばれて喜ばない人はいないと聞いたことがありますが、中国では、年齢や先輩後輩の上下関係はたいしたものだと思われていません。先輩は必ずしも尊敬の対象ではないのです。ですが、この場ではやはり尊敬しちゃいました。先輩だから敬うというのではなく、その日本語力と留学資格に感心したのです。

そこで、自分の自己紹介の最後に、先輩である「完璧さん」への敬意を言葉にしてみました。ただ、どうしてもおべっかに聞こえてしまうものですね。自分でも不思議だと思いました。

だんだん気まずくなってしまったので、さっさと自己紹介をおしまいにしようと思って、「何事があろうとも私はもう覚悟を決めています」と、まるで戦場へいく兵士みたいなせりふでしめました。

そのせりふを聞いて、「完璧さん」は吹き出し、「厨二かよ、お前は」と笑いながら言いました。

「厨二」と言われたのに、私はとても嬉しくなりました。なぜなら、その言葉でクラスに我が「同志(オタク)」が存在すると確信できたからです!


(Nightjojo) Twitterアカウント:nightjojo
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<続編>
初音ミクに東方、オタク力で切り抜けた試練の研修―中国人オタク新入社員の日系企業奮闘記<3>

<前編>
中国人オタク新入社員の日系企業奮闘記<1>


<過去記事>
・中国オタクのカワイイ日常?!ブログ記事「上海のメイドカフェで「写真撮らせて」って言ったらキモがられた。死にたい…」に笑った

・日本アニメを抜いた?!これが中国の王道熱血アニメだ!


・【連邦のMSは化け物か】中国版ツイッターに蒼井そら降臨!中華芸能人に圧勝の破壊的影響力


・18歳の少年がメイド喫茶を開業、中国人若人のバイタリティはすごいぜ―情報サイト「福州生活」

Kinbricks Now:日系企業など対象の7万人ストライキ=34%の賃上げで妥結していた―遼寧省大連市

 コメント一覧 (7)

    • 1. 犬彦うがや
    • 2010年11月19日 19:13
    • 新キャラ登場だ~
    • 2. 流乃介
    • 2010年11月20日 01:55
    • >中国では、年齢や先輩後輩の上下関係はたいしたものだと思われていません

      ってとこが意外でした。日本よりも、そういうものが重んじられているような印象を勝手に持ってました^^;
    • 3. まめ
    • 2010年11月20日 03:22
    • 5 Nightjojoさん、がんばれ!!俺もがんばる!!
      オタクだけでは生きていけないから努力と根性で行くしかない!
    • 4. Chinanews
    • 2010年11月20日 06:50
    • >流乃助さん
      私も意外ですね~

      長輩後輩(世代)の別、長幼(年齢)の序は、「儒教の国」中国で結構大事な意味を持つと思います。ただ、日本のような(あと韓国もでしょうか)学校での入学年度、会社での入社年度による先輩後輩関係はあまり厳しくないという印象はあります。

      Nightjojoさんの解説を待ちたいところです。
    • 5. シャオロン
    • 2010年11月21日 00:43
    • 中国にも「厨二」という概念が伝わってるのかな。
      日本ではもはや意味が広くなりすぎて定義が分かりづらい状況だけど。
    • 6. Chinanews
    • 2010年11月21日 02:18
    • >シャオロンさん

      中国語で該当する言葉、見たことないですね。
      オタクのNightjojoさんならではの理解、なのかな。

      Nightjojoさん本人の説明希望(笑)
    • 7.  
    • 2010年12月03日 23:34
    • 厨二って韓国でも中二病とか言われて使われてる。

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