中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2010年11月19日
1メートル離れたところに座っている先生は、デスクトップパソコンをずっと見ていて、私に話しかけるどころか、見ようとすらしません。ディスプレーの光が邪魔して、表情を読み取ることもできない始末。
この間の沈黙は実に痛かった。
大学生の時も朝早く学校に来て、教室の前で本を読むことがよくあって、ドアのカギを開けにくるおばさんに怪しげな目で見られて来ましたが、今日ほど早く到着したことを後悔したことはありませんでした。
自分がどんどん小さくなっていると感じた時、ノックの音がしました。その単調な響きが、あたか美しい音楽のように聞こえる日がついに私にも来たみたいです。 入ってきたのはこの前一度話したことのあるCさん。心の中で神様への感謝の言葉を繰り返しながらCさんに挨拶しました……。
10時、ようやく教室の椅子が埋まりました。
先生は椅子から立ち上がって、みんなに自己紹介を始めました。一切表情を変えていませんが、私と話していた時よりも早口で喋っています。その速さでは訳すど ころか、聞き取ることすらできません。しかし、分からないとはいえ、あとで私が中国語に訳す時、なにも言えないのは厨二病的には我慢なりません。そこで、 自分にしか分からない英数字を駆使した謎の略語でメモを取りました。「日本語で速記できる程度の能力が必要かな」とか、「速記に一番ふさわしい符号は英数字でしょうね」とかどうでもいいことを考えながら。
自己紹介が終わった先生は、「訳しなさい」と私に目で合図してきました。
メモを見て、記憶に残っている先生の言葉を思い出し、さらに脳内補完を加えて、辛うじてみんなに概要を伝えました。私なりに頑張ったと思うのですが、訳し終えて先生を見ると、頭を横に振っています。そして、私の後ろに座っている人に、代わりに訳すよう言いました。
その人は訳は正しく、しかも流暢です。完璧と言ってもいいほどでした。一体何者ですか、この完璧さんは?なにかが壊れた音が聞こえてきました。それは、私の安いプライドだと思います。(一応)日本語一級の持ち主としてのプライドががらがらと壊れる音。私に訳させたのは、何の意味があったんでしょうか?
それでも、授業は続きます。先生の自己紹介の後は、私たち研修生が自己紹介する番です。日本語のできない人は中国語で、私と今の「完璧さん」は日本語で。トップバッターは予想通り、「完璧さん」です。
自己紹介で分かったのですが、彼はなんとここでたった1年勉強しただけで、一級に合格。その上、国家留学生資格まで取得して、これから九州大学博士課程を受験するのだとか!しかも、日本の教授とテレビ電話で面接して、かなり高い評価を受けたそうです。道理で日本語がぺらぺらなわけだ。それに博士受験っていったら、年齢的にも大先輩じゃないですか!
日本人なら先輩と呼ばれて喜ばない人はいないと聞いたことがありますが、中国では、年齢や先輩後輩の上下関係はたいしたものだと思われていません。先輩は必ずしも尊敬の対象ではないのです。ですが、この場ではやはり尊敬しちゃいました。先輩だから敬うというのではなく、その日本語力と留学資格に感心したのです。
そこで、自分の自己紹介の最後に、先輩である「完璧さん」への敬意を言葉にしてみました。ただ、どうしてもおべっかに聞こえてしまうものですね。自分でも不思議だと思いました。
だんだん気まずくなってしまったので、さっさと自己紹介をおしまいにしようと思って、「何事があろうとも私はもう覚悟を決めています」と、まるで戦場へいく兵士みたいなせりふでしめました。
そのせりふを聞いて、「完璧さん」は吹き出し、「厨二かよ、お前は」と笑いながら言いました。
「厨二」と言われたのに、私はとても嬉しくなりました。なぜなら、その言葉でクラスに我が「同志(オタク)」が存在すると確信できたからです!
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