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【インド映画評】「なんとかうまくやってるんだよ、インド人はね」自然体のインド描く『デリー6』

2010年11月20日

『デリー6』 


外国人目線で見たインドを描く

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アビシェーク・バッチャン演じる主人公のローシャンはNY育ち。最期はインドで過ごしたいという祖母に付き添い、オールドデリーにやってくる。インド人で ありながらも目の当たりにしたインドに驚きとまどうローシャン、それは私たち外国人が初めてインドに訪れたときに感じる目線と同じである。目の前の風景が そのまま映画のスクリーンに映し出され、旅行しているような気分になる。

はっきり言ってストーリー自体に特筆すべきものはない。メヘラー監督はアーミル・カーン主演で話題を呼んだ『Rang De Basanti』なども撮っているが、もう少しドラマ性を持たせた方がよかったのではないかと思う。ローシャンの仕事は不明だし、人間関係も今ひとつ説明 がされていないため、ストーリーがやや雑な感じがした。

*当記事は映画から、ニュース、イベント、カレー、旅行など様々なインド・トピックスを扱うブログ「インド映画通信」の許可を得て転載したものです。

しかしインドの描き方はものすごく内容の濃いものとなっている。大きな括りではヒンドゥー教徒とイスラム教徒がちょっとした行き違いから暴徒化していくという流れになっているが、細かい部分にインドのキーワードがたくさん含まれている。

神への祈り、交通渋滞、メトロ、たくさんいる親戚、親の決めた結婚と星占い、アウトカースト、警官へのワイロ、政治好き、買い物の値切り方、凧揚 げ・・・。ARラフマーンが曲を担当しているのに、なぜ別の作曲家のアヌー・マリクが登場しているのかと思ったら「インディアンアイドル」というのは実在する番組で、その審査を彼が担当しているようだ。

私たち日本人が日本の特色を述べろと言われても、当たり前になりすぎていることは意外と本人たちは気がつかないものだ。インド人でありながら、ここまで客観的にインドを表現しているのはすごい。『スラムドッグミリオネア』でイギリス人監督が描いたインドは「負」の部分がクローズアップされすぎたためか、イ ンド人には今ひとつ不評だったようだ。だがこの作品では自然体のインドが生き生きと描かれている。「いろいろなことがあるけどさ、ひっくるめてなんとかうまくやってるんだよ、インド人はね。」監督が意図していたかどうかはともかく、そんなメッセージにも感じられた。

最後の方でローシャンがつぶやいた
「なにがなんだか・・・」
これぞまさにインドを表す一番適切な表現ではないだろうか?

アニル・カプールの娘、ソーナム・カプールは特段演技力を必要とされる役柄ではなかったが、美人でダンスが上手そうなので、これから大いに期待できる。ワヒーダー・レヘマーンは品のいいステキなおばあ様になっていた。

会場は椅子は固めだったがスクリーンが思っていた以上に大きく、映像、音声ともに良かった。自分までインドの知人宅かどこかに訪れている気持ちになり、観終ってからはいい意味でぐったりと旅疲れをしてしまった。 




*当記事は映画から、ニュース、イベント、カレー、旅行など様々なインド・トピックスを扱うブログ「インド映画通信」の許可を得て転載したものです。


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