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胡錦濤最後の戦い?!尖閣問題よりはるかにヤヴァイ敵、その名は「インフレ」

2010年11月22日

2010年11月19日、中国の中央銀行にあたる中国人民銀行は預金準備率の0.5%引き上げを発表しました。29日の施行。


上海浦东发展银行(原汇丰银行) / Bruce Chan


預金準備制度とは各金融機関の預金残高のうち一定比率を中央銀行に預けなければならないという制度。預金準備率はその比率です。銀行が融資できるお金の量が減れば、市場に出回るお金(流動性)も減るよという狙い。より直接的な効果を持つのは公定歩合の引き上げですが、「人民元の上昇圧力が高まっちゃうよ!輸出にピンチだよ!」ということか、こちらにはなかなか手を付けられないもよう。

どのぐらい多用されているかを見てみますと。今回でなんと今年5回目の引き上げ。11月に入り2回目の引き上げです。なんとリーマンショック前に記録した最高値を超えて史上最高値を記録。預金準備率引き下げがバブル抑制を目的だと考えれば、なんと中国は今、史上最高のバブルを迎えていると言ってもいい状態にっ。

中国人民銀行の発表した統計によると、預金準備率は1999年に7%。そこから2008年まで右肩上がりに上がり続け、2008年6月7日には17.5%を記録。2008年9月にリーマンショックが起きると、引き下げに転じ、同年12月には15.5%に。そして、今年に入り、引き上げに転換。今回の引き上げで18%となりました。

これだけばたばた動いているのは、中国のインフレ傾向が鮮明なものになったためです。消費者物価指数(CPI)の伸びを3%以内に抑制するという目標はおろか、11月には5%に達するという観測まで浮上しています。しかも、庶民感覚では「物価の上昇は数%どころじゃないだろ!」というのが本音。

「うちの街の豚肉価格、春先から倍ぐらいになってるんだけど」「うちもっす」「牛乳と卵もたけーよ」といった恨み節がネットにはあふれています。統計をごまかしているとまでは断言しませんが、一般市民の怒りの増幅率は5%では済まないのは明らかです。

思えば、リーマンショック前の中国では、「CPI」が流行語になったり、温家宝首相が「物価抑制が政府の最優先任務だ!」とかっこつけてみたりとインフレ対策が大変なことになっておりました。素人の感想ですが、国際的な金融危機で先遅れにされていた金余り(流動性過剰)とインフレの問題が再び焦眉の課題になったのかな、と。

インフレというのはひとたび予期が形成されると、なかなか止められないもの。中国政府はさまざまな政策を打ち出していますが、輸出と投資が経済を支えているわけでそこに手を突っ込む抜本的な対策はなかなか打てないでしょう(中国の投資主導経済についてはこちらを参考に。「壁と卵」の現代中国論第4回)。となると、民草にとっては尖閣問題の100倍以上関心が高いインフレ問題ですが、その退治は厳しいのではないか、と。となると、ことは経済問題を超えて社会問題、政治問題にまで発展します。いやはや、任期2年を残した胡錦濤政権にとっては、最後の大問題となるのではないでしょうか。

(執筆者:Chinanews) Twitterアカウントはこちら
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