中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2010年11月23日
・中国の出生率は1.2~1.3にまで落ち込んでいる。日本(2009年で1.37)よりさらに低い水準といった内容。面白いので、ぜひご一読を。
・ゆえに中国の人口、とりわけ労働人口、若年人口は減少することに。
・転換点は2016年
・中国の経済成長は「人口ボーナス」(労働人口の増加)に支えられてきた。今後、それが逆転する可能性がある。
・今や一人っ子政策の転換は政策課題となってしかるべきだが、その動きはない。官僚にとってのタブーになっているのでは?
*写真は農村の「一人っ子政策」スローガン。原文が「殴ってでも!堕胎させてでも!流産させてでも!絶対に生ませない!」。否定詞「不」が書き加えられて、「絶対に生ませる!」と変えられている。
11月15日より青島市北区では、一人っ子政策違反金である「社会撫養費」未払い者に対する集中取り締まりを開始。未払い者は告訴される。さて、一人っ子政策違反者はどのような人なのだろうか?22日、取材の結果、違反者の10%弱は愛人に生ませていることが判明した。一人っ子政策違反者は不倫をばんばんする不道徳の輩であるという宣伝なんでしょう。10%弱が愛人に生ませたっていうけど、残る90%強はどんな人なのでしょう?こんな感じでイメージ操作をばんばんやっているわけですが、一人っ子政策問題という日常生活や社会に根ざした問題だけに、誰もがよく内情を知っていること。ちょっとやそっと「啓蒙」したぐらいでは、人々の考えが操作されるとは思いませんけどね。
事例1
林、40歳男性、安定した仕事を持つ、不動産3軒車1台を保有、生活に全く困っていない。
孟、23歳女性、林の愛人。
事例2
ある男性は十数年前に初の結婚。子どもを持った。その後、妻の友人と不倫し、離婚後に再婚。さらに再婚相手との感情も冷め、第三の女性と関係を持つ。2人目の妻との離婚手続きが終わらぬうち、第三の女性が出産した。
データ1
一人っ子政策違反者の10%弱は妻を持つ夫
データ2
「社会撫養費」未払い者に対する集中取り締まりの第1周で、92万元(約1150万円)を徴収
*社会撫養費の計算方法
基本的に、一人っ子政策違反者は現地の平均収入の3~4年分の罰金を支払う。当事者の実際の収入や法律に違反した出産などの状況に従い、最終的な額は変化する。
*どういう状況で、2人目の出産は許されるのか?(山東省人口・計画生育条例より)第一子が障害者だった場合、2人目を生むことができるのですが、「非遺伝性の障害」となっているのが気になるところ。恐らくは「遺伝的な病気は結婚前診断で把握し、治療するか出産を断念するべき。それでも出産を強行したのはおまえの問題だ」という優生学的な発想かと思われます。
(1)夫婦がともに一人っ子の場合
(2)1人目の子どもが非遺伝的な障害者で、働く能力がない場合。
(3)不妊症のため養子を迎えたが、その後妊娠した場合。
(4)夫婦ともに少数民族の場合。
(5)夫婦のうち一方が5年以上連続して炭鉱の仕事を続け、第一子が女の子だった場合。
(6)夫婦のうち一方が5年以上連続して遠洋漁業の仕事を続け、第一子が女の子だった場合。
(7)夫婦の片方が「烈士」(革命のため命を落とした人)の唯一の子どもか、あるいは二等乙級以上の傷痍軍人である場合。
(8)夫婦のうち一方が非遺伝性の障害により労働能力を喪失、第一子が女の子だった場合。
(9)再婚した夫婦のうち一方にだけ子どもがあり、もう一方に子どもがない場合。
(10)夫婦双方が農村住民で、農林畜産漁業を主要な収入源としている場合、一定の条件を満たした場合。
(11)夫婦双方が再婚前にそれぞれ子どもがいたが、いずれも養育権を離婚相手に取られている場合、許可を受ける申請が可能となる。
10%が愛人に産ませた子ときましたが、政府もいろいろ考えますね。
壁に書かれた宣伝、実に面白いです。私も中国についてばかりの頃は、壁にとすごいショックをうけましたが、慣れるとなんてことがなくなるのが人の常で、何とも思わなくなってしまいましたが、久々に当時の感覚を思いだしました。