中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2010年11月25日
民草にとっては尖閣問題の100倍以上関心が高いインフレ問題ですが、その退治は厳しいのではないか、と。となると、ことは経済問題を超えて社会問題、政治問題にまで発展します。なとど書きましたが、その嚆矢とも言うべき事件が起きたので、ご紹介します。
11月22日、貴州省六盤水市の第二中学で、中高生が決起。「建校以来最も暴力的な事件」が発生した。生徒1000人が学生食堂を襲撃、ぼろぼろに破壊した。負傷者は出ていない。
同校生徒の陳くんによると、生徒たちが暴れた理由は「学食の値上げ」。これまで魔法瓶1瓶分0.7元(約8.4円)だったお湯の値段が1元(約12円)に。おかずの値段は0.5元(約6円)の値上げ。さらにパンやごはんまで値上がりしていたという。しかも今回の値上げは9月から数えて2回目だった。もはや見過ごすことはできないと考えた生徒たちは、22日夜、食堂関係者と「話し合い」することを決めたが、いつのまにやら「暴動」に発展。机や椅子をひっくり返しての大暴れとなった。
同校の樊国慶校長によると、おかずの値上げ幅は37.5%にも達したとのこと。22日は値上げ初日だったが、生徒たちはチラシを回し、「話し合い」について連絡を取っていたという。「私も若い時がありましたから、生徒たちの気持ちはよくわかります。しかし、今回の事件は生徒たちの遵法意識の欠如を浮き彫りにしました」と樊校長は嘆いている。中国の中高生は寮生が多いので、食事はほとんど学生食堂。その値上げは懐を直撃するため、決起したというところでしょうか。昔、明治大学前を通った時、学生活動家が建てた看板に「学生食堂の調理師**を告発する。やつは腐ってハエがたかったような肉を安値で購入。学食で販売して暴利をむさぼっていた」という立て看を見て、笑いながら、「そーだそーだ」と応援する気持ちになったのですが、年をとると物の見方も変わるもの。
学生食堂は2007年の建設。事業主の資本で建設、その代わりに24年間の経営権を与えるという方式が取られた。しかし今回の事件を受け、学校側は経営権を回収することを決めた。しばらくの間は外部の企業に運営を任せるが、その後は学校が直接人員を派遣、経営コスト引き下げに努めるという。
雲南信息報(2010年11月25日)
電気代も燃料代も値上げてはいるが、魔法瓶一つのお湯は0.5元以上の価値がないと思われる。