中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2010年11月26日
米を例に取ると、スーパー6社の平均が2009年11月24日では1,59元/500gなのに対し、最新データとなる2010年11月23日だと 2,38元/500g。1年でほぼ50%高の超インフレ。小麦粉や食用油、鶏卵、豚肉なども10%以上の上げ幅となっています。
6大スーパー12種商品価格観測統計表(2010年10月26日)
約1ヶ月前のデータと比較しても、米が平均で0.12元/500g値上がりするなど、短期間でも目に見えて物価が上昇しているのが分かります。
これに先立って、「柴油荒」と呼ばれる軽油不足も起きています。
特集:「柴油荒」、全国を席巻(環球網)
軽油不足でも投機の対象となったため、買いだめや転売による品不足が発生し、GSはトラックやバスが長蛇の列を作りました。この列が幹線道路にまではみ出したため交通渋滞を招き、物資の輸送にも影響が出ました。
北京市高校の学食価格上昇(2010/11/25 大公報)
低所得者もそうですが、基本的に仕送りとアルバイトに収入源を頼り、普段は学食で質素に過ごす学生も物価上昇の波を受けやすいのですが、国務院が学食の価格を安定させるよう通知を出してまもなく、北京市教育委員会は「値上げ禁止」命令を出しました。
「おかずを減らす代わりにご飯の量を増やして腹を膨らませる」「値段の安い学校に行って食べる」などの涙ぐましい努力を学生が行う一方で、食堂側は材料の共同購入やメニューの統一でロスをなくそうと企業努力の最中。
学食値上げに不満の高校生が学食破壊(2010/11/25 四川新聞網)
ところが学校が北京ほど密集していない地方は、共同購入などのコストカットが出来ないのか値上げに踏み切ってしまい、学生が学食を破壊する事件が、貴州省の全日制高校で起きました。
六盤水市第二中学に通う陳さんによると、21日に学校に戻ってきてみると、魔法瓶のお湯が0.7元から1元に値上がりしているのを発見。
週明けの月曜にはおかずが0.5元値上げしており、主食となるパンやご飯も値上げ対象となっていました。値上げはいつから数えているのか分かりませんが2回目(1元=約12円)。
闇討ちに近い予告無しの値上げに、学生たちは食堂経営者と話し合いをしようとしたものの、1000人ほど集まりすぎてヒートアップしたのか奇声をあげながら食堂の机やイスを壊し、窓ガラスを割るなどの狼藉に及びました。学内に住む学生が約3000人ですから、およそ3分の1が食堂に集結したことになります。
警官隊の突入などは書かれておらず、学内にいた当直の教師らによって説得され解散したことになっているのですが、実際は警察も駆けつけて事態の収拾にあたったようです。
樊国慶校長は「私も若い頃があったので、生徒の気持ちは十分理解できる。しかし、この件では学生たちに遵法意識が不足しているとわかってしまった」と語っております。む、ということは逮捕者無しのお咎め無しですか。「思想工作」などは行ったようですが。
10月の反日デモにが、地方の都市に多かった理由に「格差」が挙がっていたのですが、国家発展改革委員会が危惧するように投機屋の暗躍が物価上昇の一因となっているのは間違いありません。持たざる者の、持てる者への嫉妬が爆発するのはそう近くないかもしれません。というか、今回の食堂暴動はその一歩ですよね。