中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2010年11月27日
コネがものを言う世界というのはボリウッドに限ったことではないが、「ハリウッド映画のDVD観て台本おこした」なんてパクって映画を作っちゃってる・・なんてくだりはボリウッドらしい。
音楽はヒットメーカーのShankar-Ehsaan-Loy。
ダンスシーンが撮影風景と絡めててうまく挿入されている。どれもなかなかいい。
特に一番の見所はリティックのダンスシーン。
『Krrish』でのサーカス風な衣装とノリのいい音楽で、リティック流クニャクニャダンスを画面いっぱいに堪能できる。
はっきり言って、私はこのシーンが一番好きだ。
インド映画はなぜかスイスロケが大好きだが、スイス風山並みをバックにしたダンスシーンや、ヒーローがヒロインの危機を助けて斜面をころころ転がってくるシーンなどがいかにもインド映画らしくて面白い。壁に貼ってあるヒット作のポスターなど様々なネタが散りばめられていて、撮影所見学気分で映画を観ることができる。実際にムンバイのフィルムシティに潜入したことがあるので(ちょっと自慢)、「そんな感じだったな~」なんて思い出しながら観た。
ただこうしたバックステージものは、表を知っているからこそより楽しめるのではないか。
『Om Shanti Om』も一種のボリウッド映画界の裏側を描いたものだが、あれは裏と見せかけたド表という技であった。
主人公のコーンクナー・セーン・シャルマーは『Page3』でも主演だったが、彼女は華やかなボリウッド作品よりはこうしたややドキュメンタリーチックな映画の方がマッチする。Page3も華やかな舞台の裏側を描いた作品という点でこの作品と似ている。だがどちらも特に目新しいストーリーではなく、やや新鮮味にかける。
またヴィクラムがスターになっていき、華やかな世界に足を踏み入れていく様子と、それをうれしい反面、心配な気持ちが募っていくソーナーのラブストーリーもありがちな話。太田裕美の木綿のハンカチーフ(←古すぎ(笑))的世界はうまく描かないとバタ臭くなってしまうのだが、女性の自立に趣旨を入れ替えた点で悪くなかった。
どちらかというと映画祭向けの作品。一般公開をするにはやや地味な印象。
インド映画の要素は盛り込まれているが、こうした作品を楽しむならもっと「This is Bollywood」な作品で他の映画との差別化を図っていった方がいいような気がする。それこそがインド映画の面白さなのだから。