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【相手が違う】<北朝鮮砲撃>米国「挑発行為は許さない!」中国「おまえ、俺にケンカ売ってるのか?!」みんな「えっ」

2010年12月05日

北朝鮮による砲撃事件。いきなりの砲撃ですので、普通ならば戦争になってもおかしくないわけですが、「また、いつもの北朝鮮の挑発か……」と韓国はある意味、あきらめ感のある対応。今春の哨戒艦沈没事件に続く、軍事攻撃なのにじっと抑制の構えです。

韓国世論もよくまあ耐えているよねと、我慢強さには拍手したいところ。とはいえ、挑発行為は許さないという姿勢をアピールすることも大事。というわけで、米韓軍事演習、日米軍事演習(韓国がオブザーバー参加)を通じて団結をアピールしているわけですが、当の相手である北朝鮮はともかく、中国が「おまえら、俺にケンカを売っているのか?!」と大盛り上がりに。なんで?!

20101205_junyan1

グーグルニュースのトップは「日米韓軍事演習が示した『空海一体戦』概念」。グーグルニュースは注目記事を機械的に選出してトップに持っていくので、軍事演習ネタが今、中国で最もホットなニュースということに。また、「軍演」でニュース検索をかけると、「日米軍事演習は島嶼防御を強化=姿を現した日本の『西南戦略』」「日米軍事演習は「日本への攻撃」を想定したもの」「日米軍事演習の本当の相手は中国か」「日米軍事演習は実戦を想定したものだ」などなど各紙書きまくり、煽りまくり。

とても全部読む気にはならないのですが、
・米韓、日米の軍事演習は北朝鮮を挑発するもの

・っていうか、本当の狙いは中国への威圧じゃね?

・「中国の裏庭」黄海に米原子力空母が進入してきた!

・挑発されているのに、6カ国協議関係国会談を冷静に呼びかけた中国偉い

・その温和な呼びかけを足蹴にした日米韓は何様だ?!
っていう論点をぐるぐる回っている感じでしょうか。なお、北朝鮮砲撃事件について、中国の正式見解は「韓国が先に射撃した」ということに。

・韓国がまず誰もいない海域めがけて射撃(実弾演習)

・北朝鮮が軍事基地めがけて反撃。一般市民2人、軍人2人が死亡。


ということに。まあ、ウソじゃないけど韓国の射撃訓練と北朝鮮の攻撃は同列に扱えるものなのかな……。

中国では軍事週刊誌の人気が高く、毎号のように「日中戦力比較」「秘密のヴェールを脱いだ自衛隊新型艦」「人民解放軍新型戦闘機の実力」とかを延々特集しています。ま、男の子の趣味としては軍事は定番なのでしょう。今回のような事態になれば、ますますニーズがあるネタとしてメディアが競って煽るのも分からないではありません。

が、メディアだけではなく、人民解放軍もばりばり動いているとなると話は別。12月5日付シンガポール華字紙「聯合早報」の記事「中国が黄海など多くの海域で軍事演習を実施」によると、解放軍報のウェブサイト・中国軍網で、黄海、渤海、瀋陽軍区の演習に関するニュースが続々掲載されているとのこと。演習は新型戦闘機「飛豹」の夜間海上長距離攻撃訓練などなど、米空母に対する威嚇とも取れる内容だそうで。

「感情的な米国と温和に対話を呼びかけた中国」という自分で宣伝している図式ががらがらと崩れているのですが……。

ま、これがいつもどおりの脊髄反射的反発ならばいいのですが、どうも人民解放軍は今年やる気まんまんのようで。米国による台湾向け兵器売却話、南シナ海の主権問題での米国とのあつれきもさることながら、今夏の米空母黄海進入話ではありえないほどの盛り上がりを見せました。

米国は、韓国哨戒艦沈没事故を受けて黄海での米韓軍事演習も実施したわけですが、中国は「米空母を中国の裏庭に連れ込むなんて許せない」と怒りまくり。実弾演習をしたり、軍高官が批判コメントを出したりと全力で邪魔にかかっていました。

いや、それも含めて「中国の正常運行」といわれればそうかもしれませんが、気になるのは習近平の軍事委員会副主席就任問題で議論された共産党の現執行部と軍部の対立が深まっているのではというお話(「2010年10月中国反日デモに関する雑感まとめ」(ブログ「大陸浪人のススメ」)「官制デモ」から「本当の愛国デモ」に変わった?止まらない反日デモを考える(ブログ「Kinbricks Now)参照)。

軍部の影響力が増す中で、「北朝鮮防衛じゃ」「米軍の跋扈許さまじ」と盛り上がっているのだとすると、ちょっと怖い事態に。ましてや現在は第12期5か年計画(2011年~2016年)の策定期間。どこの部署も、「ここでやる気を見せて予算分捕りの材料にするぜ」と思っているところでしょうが、軍も一発がんばっている姿を見せようと張り切っているのでしょうか。ともあれ、もし政府による軍のコントロールが効かなくなりつつあるのだとすれば、これ以上に恐ろしいことはないのではないか、と。

韓国艦艇への攻撃と軍事基地への砲撃という、明らかに一線を越えた行動を取った北朝鮮。自国にとっても喜ばしい行動ではないのに、北朝鮮支援路線を明確にしてしまった中国。次に北朝鮮がさらにエスカレートした行動を見せても、中国は北支援に回るのでしょうか?

(執筆者:Chinanews) Twitterアカウントはこちら
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 コメント一覧 (16)

    • 1. 犬彦うがや
    • 2010年12月05日 19:50
    • 軍が田舎の中学生みたいな思考回路では困る。軍人こそ留学するべき。
    • 2. マネ
    • 2010年12月06日 04:39
    • 本当に、今回の事件はまた南北の誰かのおバカさんが新しいオモチャを遊んだ時、やり方などの間違いで始まったのではないのか?と、疑問が持っています。
    • 3. Chinanews
    • 2010年12月07日 02:47
    • 6か国協議で決まった段階的核廃絶プログラム、悪くなかったと思いますけどね。北朝鮮はそれだけじゃ不満だったのでしょうか。
    • 4. ヘイロー1
    • 2010年12月07日 07:09
    • 同列じゃないの?

      つか元凶はバ韓国が限界線ギリギリで実弾射撃演習なんかやるからだろw
      海外(欧米系)のニュースみりゃ、同列に扱われてるのがよくわかる。

      北のみが悪く報道してんのはジャップだけじゃないん?
    • 5. 嘲
    • 2010年12月07日 12:15

    • どちらの片も持つべきではないな

    • 6. 在日中国人乙
    • 2010年12月07日 12:21
    • 听说《驻韩美军前司令答韩媒:中国参战将被打回100年前》 我的感想: 美国人强硬,是准备和北韩谈判的先兆。 现在世界上没有人愿意战争,这是明摆着的。 为了谈判能取得对己方有利的结果而示威。 这是古老而有效的外交手段。

      駐韓米軍元司令官が韓国メディアに「中国が参戦すれば、経済が100まで前に叩き潰す」との発言に、僕はこう思う。

      今現在、世界で関連六カ国は、誰も戦争するつもりがないことは誰にも分かることだ。
      アメリカ人が強硬姿勢に出たのは、これから北朝鮮と談判するだろうとの症候だ。いつも使っている手なのだが、北朝鮮と談判有利な結果を得るための古く有効な手段だ。
    • 7.  
    • 2010年12月07日 12:29
    • だって北朝鮮の韓国への砲撃は、中国が尖閣諸島や沖縄諸島へ侵略したらアメリカがドウ対応するか実験させたんでしょ?軍事用語でいうと”威力偵察”だよね?黒幕が中国だから中国の言い分が正しい。まさか中国が自分からばらすとは思わなかったが。
    • 8. K
    • 2010年12月07日 12:48
    • アジア近郊国以外の国からしたら「朝鮮半島で内紛が起こっている」くらいの認識かもしれんな
    • 9. Chinanews
    • 2010年12月07日 14:42
    • 北朝鮮が暴れる

      日米韓は援助停止など反発姿勢を見せないと

      中国一国で支援。つれー。

      というコンボなので、北朝鮮の暴れっぷりは中国も望んでいないところかと。核武装されると中国も危ないですしね。

      在日中国人乙さんが紹介している、ベル元在韓米軍司令官の「中国が朝鮮半島で戦争をすれば、経済力は100年前に戻ることになる」という脅しは、度がすぎたものだと思います。

      ただなにせ外交の達人・米国ですから、硬軟おりまぜたアプローチを続けているんじゃないか、と。うまく行けばいいと願っていますが、ここ10年余りのどたばたを見ていると、楽観視はできないですよね。。。
    • 10. 在日中国人乙
    • 2010年12月08日 01:38
    • ベル元在韓米軍司令官が韓国メディアに「中国が朝鮮半島で戦争をすれば、経済力は100年前に戻ることになる」という脅しは

      1、同盟国として、韓国へ支持の立場の表明+慰め
      2、北との談判を有利な方向へ進むため(核放棄)、もし北朝鮮が行き過ぎたら、核濃縮をピンポン攻撃する可能性がある。その場合、事前の根回しで中国が参戦しない可能性もあるよと。
      ※中米間トレードされてしまう可能性も存在する。今回の黄海での米空母参加の米韓合同演習への容認も一種のトレードもしくは默契(中国語、ぴったりした日本語が見つからないので)だと思っている。
    • 11. Chinanews
    • 2010年12月08日 23:44
    • >在日中国人乙さん

      コメントどうもです。
      「默契」は「暗黙の了解」とか「阿吽の呼吸」と訳す感じでしょうか。
      米国、そして中国は水面下でいろいろやりとりしていると思うのですが、ベル元司令官(この人って軍人も引退している?)の発言があまりにも野蛮すぎて、「考えゼロの失言じゃない?」って心配になったり。
    • 12. 在日中国人乙
    • 2010年12月10日 00:46
    • ベル元在韓米軍司令官の失言は恐らく「紅臉」役。
      北朝鮮と談判する前に、軍事力だけではなく、中国との「暗黙の了解」の可能性を示唆した。北朝鮮に中国からの参戦の望みを捨てさせるためだと思う。
      勿論、最近北朝鮮も必死で中国と「友好」しているはず。「米帝に侵略されたら無視しないだろうね」と確認するわけだ。
      勿論、談判する時は、アメリカは「白臉」役も出てくる。最後的にいい結果が得れば、握手で終わって万々ってことだろう。
    • 13. 在日中国人乙
    • 2010年12月10日 00:47
    • 訂正:
      ×万々
      ○万々歳
    • 14. 在日中国人乙
    • 2010年12月10日 01:08
    • さあ、中国は難しい立場に立たされている。
      少しでも油断したら、勧駕※役が両方嫌われることも少なくない。

      ※勧駕(中国語):
      喧嘩の両方を引き離して、冷静させる人、誰か日本語訳を教えてください
    • 15. Chinanews
    • 2010年12月10日 15:39
    • >在日中国人乙さん
      勧駕役は「仲裁役」「調停役」でしょうか。確かに難しい立場ですね。紅臉、白臉の使い方も始めて知りました。日本でもヤクザとか警察は怒る役と優しくなだめる役に分かれて交渉するのだとか。似たようなものかな。

      ベル元在韓米軍司令官の発言は紅臉役としても品がなさすぎるんじゃ……というのだけが気がかりですが、水面下で関係国が交渉を続けているのは間違いないでしょうし、うまいところに着地して欲しいですね。
    • 16. 名無し
    • 2011年01月04日 19:34
    • 韓国世論がよくやっているとかありえない発想www
      狂ってるな。

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