中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
・米韓、日米の軍事演習は北朝鮮を挑発するものっていう論点をぐるぐる回っている感じでしょうか。なお、北朝鮮砲撃事件について、中国の正式見解は「韓国が先に射撃した」ということに。
・っていうか、本当の狙いは中国への威圧じゃね?
・「中国の裏庭」黄海に米原子力空母が進入してきた!
・挑発されているのに、6カ国協議関係国会談を冷静に呼びかけた中国偉い
・その温和な呼びかけを足蹴にした日米韓は何様だ?!
中国では軍事週刊誌の人気が高く、毎号のように「日中戦力比較」「秘密のヴェールを脱いだ自衛隊新型艦」「人民解放軍新型戦闘機の実力」とかを延々特集しています。ま、男の子の趣味としては軍事は定番なのでしょう。今回のような事態になれば、ますますニーズがあるネタとしてメディアが競って煽るのも分からないではありません。
が、メディアだけではなく、人民解放軍もばりばり動いているとなると話は別。12月5日付シンガポール華字紙「聯合早報」の記事「中国が黄海など多くの海域で軍事演習を実施」によると、解放軍報のウェブサイト・中国軍網で、黄海、渤海、瀋陽軍区の演習に関するニュースが続々掲載されているとのこと。演習は新型戦闘機「飛豹」の夜間海上長距離攻撃訓練などなど、米空母に対する威嚇とも取れる内容だそうで。
「感情的な米国と温和に対話を呼びかけた中国」という自分で宣伝している図式ががらがらと崩れているのですが……。
ま、これがいつもどおりの脊髄反射的反発ならばいいのですが、どうも人民解放軍は今年やる気まんまんのようで。米国による台湾向け兵器売却話、南シナ海の主権問題での米国とのあつれきもさることながら、今夏の米空母黄海進入話ではありえないほどの盛り上がりを見せました。
米国は、韓国哨戒艦沈没事故を受けて黄海での米韓軍事演習も実施したわけですが、中国は「米空母を中国の裏庭に連れ込むなんて許せない」と怒りまくり。実弾演習をしたり、軍高官が批判コメントを出したりと全力で邪魔にかかっていました。
いや、それも含めて「中国の正常運行」といわれればそうかもしれませんが、気になるのは習近平の軍事委員会副主席就任問題で議論された共産党の現執行部と軍部の対立が深まっているのではというお話(「2010年10月中国反日デモに関する雑感まとめ」(ブログ「大陸浪人のススメ」)、「官制デモ」から「本当の愛国デモ」に変わった?止まらない反日デモを考える(ブログ「Kinbricks Now)参照)。
軍部の影響力が増す中で、「北朝鮮防衛じゃ」「米軍の跋扈許さまじ」と盛り上がっているのだとすると、ちょっと怖い事態に。ましてや現在は第12期5か年計画(2011年~2016年)の策定期間。どこの部署も、「ここでやる気を見せて予算分捕りの材料にするぜ」と思っているところでしょうが、軍も一発がんばっている姿を見せようと張り切っているのでしょうか。ともあれ、もし政府による軍のコントロールが効かなくなりつつあるのだとすれば、これ以上に恐ろしいことはないのではないか、と。
韓国艦艇への攻撃と軍事基地への砲撃という、明らかに一線を越えた行動を取った北朝鮮。自国にとっても喜ばしい行動ではないのに、北朝鮮支援路線を明確にしてしまった中国。次に北朝鮮がさらにエスカレートした行動を見せても、中国は北支援に回るのでしょうか?