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【中国コラム】貧困学生に食事無料提供=でも貧乏を認めるようで恥ずかしい?

2010年12月07日

無料の学食が増える予感

学食の値上げ禁止令と補助(過去記事「【中国コラム】食い物の恨みは怖い?!学食値上げ防止に当局が補助金」)に続く、学生への手厚いお手当て第二段の情報が来ました。


山西省の大学で貧困学生に「無料昼食」提供(2010/12/05 新華網)



太原理工大学では、2007年から全学生の5%に当たる貧困家庭出身の学生に、無料で昼食と夕食を提供しているそうです。


Messy students / Micah Sittig


「タダだけど、普通の食事と変わりないよ。ナス、ジャガイモ、冬瓜とかの野菜と、主食はご飯以外に餅(小麦粉を薄く延ばして焼いたもの)とマントウで、夏には冷麺もあるよ」と話すのは、M2の李光亮さん。無料提供が始まった3年生の時からずっと食べ続けている彼の評判は上々のようです。

ただ、「無料昼食」と書かれた一角に学生が並び、専用の昼食を受け取って食べるという状況のようで、学内に「私は貧乏です」と宣伝するようなものなのですが、大丈夫なのでしょうか。

実際、取材を受けた学生は、「はじめはちょっと恥ずかしかったけど慣れた」と話しています。「慣れた」というのは、私の印象では「接受」(受け入れる)という意味で、納得はしているわけではないと理解しています。

「食事の問題が解決したから安心して勉強できる」とも言っており、「背に腹は変えられない」だけなのではないでしょうか。

「全学生の5%を提供対象としている」と話すのは大学飲食センターの楊学成さん。「以前は自分でマントウと付け合せのザーサイを持ってきて食べていたり、ひどいのは他の学生の食べ残しを食べている学生もいた」と、無料提供前の惨状を教えてくれます。

*当記事はブログ「中国という隣人」の許可を得て転載したものです。

これまでにも金の無い学生が残飯をあさる、比較的安価な他大学にわざわざ出かけて食事を取るなどの事例を何度か読んでいます。残飯をあさるところまで切羽詰っている学生は気にしないでしょうが、貧乏な中でもまだマシなレベルの学生がいるわけです。

「計算上では(貧困学生は)100人以上いるはずだが、毎日来るのは40人から70人くらい」。「面子と自尊心が邪魔をして来られないのだろう」と分析しています。

わかってんじゃねえか。

こうした学生は、バイトで生活費の足しにしているのでしょう。ちょっと古い記事ですが、こんなのがありました。


大学に現れた「跑腿一族」 秘密にしたい貧富の差(2010/06/05 中国学生網)



跑腿一族に上手い訳が当てられなかったのでそのままにしてますが、学生が学内に出前のアルバイトをしているのです。当然出前を頼む相手には同級生や、クラスメイトがいるかもしれません。

1回の出前で1元、1日で40元稼せげる日もあるようで、ご多分に漏れず「農村出身」「親の体が弱い」「弟か妹がいる」などの三重苦を背負う羅明さんは、「自分の手で金を稼いでいるのだから、何も恥ずかしくない」と言います。

割り切れるヤツはいいんです。しかし、一方で無料の食事提供にも並べないヤツもいるわけで、現金による補助か食券の配布に切り替えてやった方がいいのではと思います。

ところで、『中国青年報』がこの記事を転載した意図はどこにあるのでしょうねえ。

記事の最後に「関心を示した国務院の調査隊が調査に訪れた」とあるので、これから増えるから待っとれという予告でしょうか。地方に現金で補助を出すほど予算に余裕が無いという答えかもしれません。


*記事についての情報や間違いなど教えて頂けると大変助かります!コメント欄か、メール(kinbricksnow●gmail.com、●を@に変えてください)でお願いします。

*当記事はブログ「中国という隣人」の許可を得て転載したものです。


<過去記事>
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