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【中国コラム】「赤い」ノスタルジアから読み解く中国共産党内部の権力闘争

2010年12月10日

習近平さんと薄熙来さん

五中全会で中央軍事委員会筆頭副主席に選出され、いよいよ胡錦濤の後継者の地位が確定してきた習近平さん。胡錦濤の意中の人とされる李克強との差はいよいよ埋められなくなってきました。

逆転するにはどうすればいいのかツイッターでつぶやいてみたところ、「習近平が糖尿病ならあるいは」みたいな答えを頂きました。最終的には小沢と黒烏龍茶のCMに出ればいいという結論に達しましたが、大病か失脚レベルの不祥事でも起こさない限り習近平の優位は揺るがないでしょう。

その習近平さんが、12月6日から8日まで重慶市を訪れています。7日には、「打黒除悪」(マフィア・汚職官僚取り締まりキャンペーン)資料展を、打黒キャンペーンの音頭を取った重慶市トップの薄熙来さんと見学にやってきました。

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※写真は新華網の報道。

習近平「経済の安定的発展と社会の和諧的安定を促進せよ」(2010/12/8 新華網)

「打黒除悪」は昨年半年間をかけて、黒社会とつながりのあった公安系統の幹部を一網打尽にした薄熙来渾身のキャンペーンで、実際の目的は前任者で、現在は広東省のトップを務める汪洋に矛先が向けられていたとされています。

なにせ、キャンペーンで逮捕されたのは、汪洋時代の部下たち。汪洋の面子は丸つぶれもいいところで、共青団派(共産党青年団出身者)で温家宝ともケンカしちゃうくらい威勢のいい汪洋と、太子党(二世官僚の派閥)で何とか次の党大会で政治局常務委員入りしたい薄熙来という二大勢力に属する2人が、十八大を前にして目に見える政争を繰り広げているのです。

そんな薄熙来にしてみれば、太子党の現役トップがやってきて重慶における実績を評価してくれるなんて、次の党大会が楽しみになるのは当然。治安は褒められるわ、打黒キャンペーンは褒められるわ。

*当記事はブログ「中国という隣人」の許可を得て転載したものです。

視察終了後にも、市の幹部を前にここ数年における重慶の発展に対して高く評価。ここ数年とは薄熙来が重慶市のトップになった2007年以降という意味でしょう。

さらに、現在重慶で展開されている「唱紅歌、讀經典、講故事、傳箴言」も高評価。

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※写真は人民網の報道。

薄熙来、重慶精神を樹立「唱紅歌,讀經典,講故事.傳箴言」(2010/3/7 人民網)

「唱紅歌」は共産党の赤い歌を歌う、「讀經典」は指定された古典を読め、「講故事」はかこの共産党の偉業について話し、傳箴言は戒めとなる教訓を伝えるという意味かと思います。

これによると、思想キャンペーンの一環で、「都市の発展には物質文明も精神文明も必要である。都市の発展には精神の奮起が必要であり、さらに正を助け邪悪を取り除く必要がある。『打黒』とは邪を追い払い、唱紅とは正を助けることである。正を助け、邪を追い払うことで1つの都市は精神振興ができ、元気に満ち 溢れるのだ」とのこと。

おじさんが古き良き時代に思いを馳せているのは、これまでにも指摘されていましたが、このキャンペーンは毛沢東時代をよりどころとするような匂いに溢れています。

その古臭いキャンペーンに習近平がお墨付きを与えたのですから、李克強は戦々恐々ではないでしょうか。総理のイスは王岐山に取られるかもしれないし、中央政法委も薄熙来に攻め込まれ、全人代か全国政協のトップしか場所がなくなるなんてことに。

与太はともかく、習近平が味方になってくれたことですし、薄熙来が常務委員入りする可能性はかなり高いかと。


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*当記事はブログ「中国という隣人」の許可を得て転載したものです。




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