鬱になるインド映画1先日、英映画誌発表の「気がめいる陰うつな映画30本」という記事を目にした。ちなみに1『レクイエム・フォー・ドリーム』、2『ザ・ロード』、3『ダンサー・イン・ザ・ダーク』、17位に『火垂るの墓』という結果。
以下、いろいろネタバレあり。ご注意。
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私はインド映画以外をあまり観ないのだが、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』はあまりにも暗いという評判を聞いていたにもかかわらず、私の周りでは「わりと好きだ」という人が2人ほどいて、今年に入って初めて観てみた。ミュージカル仕立てなのに暗いというのにも興味がわいた。
大雑把にストーリーを言えば、弱視の女性が息子と二人で懸命に生きていくが、罠にはまって殺人を犯してしまい処刑されるというお話。心して観たせいと、主人公の女性が前向きな性格なので評判ほどには陰うつな気持ちにはならなかった。この映画を暗いという最大のポイントはラストで処刑シーンをばっちり映してしまうということにつきるだろう。こんな観客にとって不快な気持ちにさせなくても、処刑場へ向かうところでやめておくとか、それだけで十分この映画のメッセージは伝わるとは思うのだが。
そもそも罠に陥れられてたとはいえ、殺人は殺人。殺しちゃいかんでしょ。他にも自分の身と息子を守るためにはもっといい方法があったのではないか・・・とかね。
さてさて、ここからが本題。
インド映画で鬱になる作品を個人的に選んでみた。
*当記事は映画から、ニュース、イベント、カレー、旅行など様々なインド・トピックスを扱うブログ「インド映画通信」の許可を得て転載したものです。
1.『アンジャーム(アシュラ)』
この作品は東京国際映画祭で午前中に上映された。
シャールクとマードゥリーという豪華な競演で期待して観に行ったのだが、終わってから激しく気持ちが落ち込んだ。同日の夜に上映されたラブ・コメディの『イエス・ボス』を観てようやく感情が中和されたのだった。
当時としては比較的珍しいハッピーエンドで終わらない作品。
『地獄曼荼羅アシュラ』なんていうおどろおどろしいタイトルがついて一般公開されたが、なぜにこの作品をチョイスしたのか激しく謎である。『ムトゥ』の勢いがまだあった頃で、大爆笑の対極にあるということで振り幅の大きさを狙ったのかもしれないが、よりにもよってこの作品はないだろう。
2.『ディルセ』
またまたシャールク作品ランクイン。ただこの作品もラストが悲惨なだけで、マニ・ラトナム監督の映像はものすごく美しく、大ヒット「チャイヤチャイヤ」を始め、ダンスシーンはどれも秀逸。シャールクファンなら必見の1本であることは間違いない。
私の中ではラストシーンにいたった理由がまだ消化しきれていないため、もやもやした感じが残っている。(シャールクは爆弾の存在をわかっていた?事故?心中?マニーシャが意を決して道ずれにした?最後に二人の気持ちは通じた?)
長くなったので、次回に続きます。
<続編>
【インド映画評】踊って楽しいばかりじゃない!案外多いヘビー作品―鬱になるインド映画<2>
*当記事は映画から、ニュース、イベント、カレー、旅行など様々なインド・トピックスを扱うブログ「インド映画通信」の許可を得て転載したものです。
<過去記事>
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