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【タイ映画評】タクシン元首相も登場=経済混乱を背景にした「男」満開アクション『デッドライン Dead Line』

2010年12月12日

デッドライン Dead Line / 102 Bangkok Robbery


20101212_102BangkokRobbery
2004年公開 2005年日本公開


1997年にタイで実際に起きた通貨危機とその後の経済の混乱を背景に繰り広げられる、ノンフィクション風の本格アクションもの。タクシン元首相などが実名で登場してくる。冒頭、数ヵ所のストーリーが同時に始まるのでややわけがわからないスタートだったが、タイ映画としてはめずらしく作品全体に緊張感が漂い本格アクション作品らしくていい。メインの登場者は、男性ばかりで女性がいないのも作品を盛り上げている。

ただ残念なのは、タイ映画の常でストーリーが結構アバウトなこと。英題が「102 Bangkok Robbery」となっているので(原題も似た内容だ)、大強盗団の話かと思ったら(実はそうなのだが?)テロものだったので肩透かしを食らった感じがする。

*当記事はタイ映画やタイに関する映画を思いのままに紹介するブログ「タイ映画つれづれなるままに」の許可を得て転載したものです。

最後の方になってやっと英題の意味が分かってくる。後半は見ていてアメリカ映画の「ダイハード 3(Die Hard with a Vengeance)」<1995年>を思い出したが、もしかしてアイデアをいただいている?たぶんそうだろう。でも、本家のスリリングな展開には足元にも及ばないが。

ラストのクライマックスシーンは舞台がバンコクのど真ん中、サヤームのショッピング・センターMBK(マーブン・クローン・センター/伊勢丹)の真ん前での銃撃戦だが、これは実際にロケしていると思われる。これってすごいことで、日本でいえば東京・新宿の伊勢丹前の通りを封鎖して映画のロケを行っているのと同じことだ。さすが映画ロケ大国(タイは、外国映画のロケでかなり外貨を稼いでいる)のタイだ。日本では絶対に許可が下りない。

英題は「102バンコク強奪」、原題は「102バンコク(の電気)を消して強奪する」という意味。タイトルに付いている「102」が何を指すのか、最後まで分からなかった。監督のタニット・チッタヌクーンは「バーンラチャン(Bangrajan)」<2000 年>、「ラスト・ウォリアー(Legend of the War Lord)」<2002年>、「セマ・ザ・ウォリアー(Sema The Worrior of Ayodhaya)」<2003年>、「アート・オブ・デビル(Art of the Devil)」<2004年>、「アンダマン・ガール(Andaman Girl)」<2005年>、「ゴースト・イン・ロウ(Ghost-in-Law)」<2008年>、「サームチュック(Sam Chuk)」<2009年>などの作品があり、日本でも何作品かがDVD化されている。この人、大傑作はないものの駄作もなく、コンスタントに平均点以上の作品を作っているという感じがする。


(執筆者・asianet)

*当記事はタイ映画やタイに関する映画を思いのままに紹介するブログ「タイ映画つれづれなるままに」の許可を得て転載したものです。

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