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もっとも、物価問題が最大の政治課題となった今、数値上でのインフレ退治は意外とたやすいかもしれない。それというのも、各地方政府が政治業績をあげるため、物価統制の「特効薬」を導入する可能性もあるからだ。
12日付新京報がきわめて面白い事例を紹介している。甘粛省蘭州市。10月期の不動産販売価格は前年同月比10.2%上昇、前月比2.4%上昇と全国トップの数値を記録した。これを問題視した省政府は調査を実施。その後、蘭州市の不動産価格は平均1平方メートル5100元(約6万4300円)だと発表した。しかし、この価格はあまりに低すぎるとの疑念が浮上した。
ある記者は調査対象となったマンション販売所に電話。値段を尋ねた。販売員によると、平均価格は1平方メートルあたり1万1000元(約13万9000円)。調査グループ発表の2倍もの値段だ。5000元代の価格は2008年の販売開始時点でのもの。現在では中古転売価格でも6000元を超えているという。
CPI上昇率は5.1%どころではないというのが市民の実感。現状の数値でも統計にごまかしがあるのではとの疑念が持たれている。物価対策が最大の政治課題となり、地方官僚の業績を計る重要な指標となれば、甘粛省のような「特効薬」が使われるケースは増えるものと見られる。