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【政治学で読む中国】中国集団指導体制は株主総会的?習近平は民主主義嫌い?ウィキリークスが暴いた中国

2010年12月18日

中国とウィキリークス

中国当局が内部告発サイト「ウィキリークス」の中国国内での接続を遮断し、閲覧を禁止しているそうです。情報についてあれだけ神経質になっている中国にとっては、ある意味当然の措置かと。実際、これまで報道されたものをみてもかなり興味深いものがあったので、ここでまとめてみたいと思います。

私が最も興味が引かれたのが、『大紀元日本』が紹介していた、中国共産党指導部の政策決定パターンについての記事です。

中共指導部の政策決定パターン、メンバーの利益がカギ=ウィキリークス

確かに、これまで中国の指導部については、鄧小平亡き後は彼のような突出した実力者はおらず、集団指導体制であることは広く知られておりました。

しかし、これを評して「政治局常務委員の政策決定はまさに大企業のようで、「株」の持ち分の多い方が決定権が大きいとされる。胡錦濤主席の「持ち分」は最多なので、彼の意見が最も影響力を持つことになる。」と分析したのは、如何にもアメリカ人らしい分析ではありますが、大変興味深い見解でした。

*当記事はブログ「政治学に関係するものらしきもの」の許可を得て転載したものです。

あと、在米中文メディアの『多維新聞網』がウィキリークスの中国に関する記事をまとめて掲載していたので、これについて少し。なんと言っても中国の指導者に対する人物評が面白く、中でも、シンガポール建国の父でもあるリー・クアンユー顧問相の発言が大変興味を引かれました。

<ウィキリークス>「王岐山のほうがもっと首相にふさわしい」リー・クワンユーのコメント

これによると、リー・クアンユーは、以下のような発言をしたそうです。

以前王岐山副総理に会ったことがあるが、彼はSARS問題や北京オリンピックを見事に処理しており、彼の方が、李克強より、恩家宝の後を引き継いで総理になるにはふさわしい。そして、中国の将来の指導者はアメリカの大学の哲学博士かMBAをとった者がなるだろうから、アメリカが中国を変えようと思ったら教育を通して変えるのが最も良い。

江沢民は胡錦涛が好きではなかった。しかし、党内に彼を支持するものがおり、彼が主席になるのを阻止することができなかった。胡錦涛はもともと李克強が後継者になることを望んでいた。しかし、習近平が党内の指示を獲得したので、江沢民派で太子党(中国共産党の高級幹部の子弟)である習近平を受け入れた。

中国は鄧小平のような強い権力を持つ者はもはや現れない。前の江沢民国家主席は、自分が偉大なる指導者であることを誇示したいがために、台湾問題を無理矢理解決しようとして自分で自分を縛ってしまった。それと比べると、現在の胡錦涛国家主席は柔軟で、ねばり強く、実務的だ。

オーストラリアのケビン・ラッド首相(当時)のクリントン国務長官に対する発言も興味深く、彼は「中国の胡錦涛国家主席の権力は、前任の江沢民氏に及ばない」と述べていたそうです。また胡錦涛の後継者になるであろう、習近平が頭角を現すことができたのは、ある程度は一族の軍における人脈によるものだとも分析していたとのことです。

ケビン・ラッド:「胡錦濤の権力は江沢民には及ばない」

そして、駐中国アメリカ大使館の分析によると、習近平は、酒はあまり好きではなく、再婚後愛人もいないそうです。その一方で民主改革にはあまり興味がなく、太子党が共産革命の「合法的継承者」であり、エリート政治だけが、社会を安定させ、中国を強く豊かにすると信じているそうです。

ウィキリークスが暴露=習近平は好色ではなく、民主主義が嫌い

これ以外にも、既に「中国、日本を抜いてGDP世界2位に」(政治学に関係するらしきもの)で取り上げられましたが、李克強が中国のGDPは信用できないという見解を示したこと等が紹介されておりました。発言を暴露された当事者にはたまったものではないでしょうが、実に興味深い分析でした。


(執筆者・凜)

*当記事はブログ「政治学に関係するものらしきもの」の許可を得て転載したものです。

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