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【中国農業コラム】来年の農業政策の行方は?「中央経済工作会議」を読む

2010年12月19日

来年の農業政策の行方は?中国・中央経済工作会議開催


宜蘭-大同-南山部落 / Sanxia Yeh


中国は12月が財政年度の締め、慣習的なお正月は旧暦の春節なのでまだもう少し先(来年は西暦で2月3日が春節)ですが、仕事の締めということで重要な会議などが行われます。

12月3日行われた中央政治局会議では、経済政策がリーマンショック以降の金融緩和策からの転換として日本メディアでも注目されましたが、もう一つの重要な会議がこちら、中央経済工作会議です。来年の経済政策を表すものとして、毎年末の風物詩ですが、これが10-12日まで行われ閉幕しました。

ここではその結果報道からメモ書き的に、「6大任務」のうち2番目として挙げられた、農業・農村に関する点を記しておきます。(以下の訳文では気になった点は赤字、訳者つぶやきは青字で修飾しています)

*当記事はブログ「北京で考えたこと」の許可を得て転載したものです。

現代農業を推し進め、農産品のしっかりした供給を確保する。農業を強化し支えていく思想は増えこそすれ減ることは無く、政策支援も拡大していく。農産品の供給はしっかり確保し、食糧作物の作付面積を安定させ、農業生産補助金を増やし、最低価格買付制度の買付価格を徐々に引き上げ、食糧作物主要生産地への投入、利益補償を力を入れて行い、「米袋」省長責任制・「野菜かご」市長責任制(訳注:過去のブログ記事をご参照下さい)を実施し、市場流通システム建設を行い、農産品の品質安全管理を強化し、民衆が安心できる食品を確保する。(一つの文章長っ!)

農村の基礎インフラ強化に着手し、農村水利施設、電線網、危険建築物、環境整理に関する投入を強化し、農村道路、メタンガス利用施設建設を引き続き推し進める。水利は農村基礎インフラ建設の重点とし、多方面から資金を調達し、投入を増加させる。耕作地のレッドライン(訳注:18億ムー=1.2億ヘクタールの耕地面積は絶対に下回らないという政策目標)を厳守し、現代の物質条件を用いて農業の機械化を図り、現代科学技術を用いて農業を改造し、現代産業システムを用いて農業をレベルアップし、現代経営モデルを用いて農業を推し進め、農業生産経営の専門化、標準化、規模化、集約化を促進する。(中国政策文章らしい、この繰り返しが素敵!)

【とりあえずパッと考えたこと】

○2008年の同会議で第2番目で掲げられたものの、2009年には明示的に主要任務として触れられなかった農業、農村問題が今年は再びのランクイン(!?)。やはり今も話題の農産品物価高、そして引き続き広がる格差の問題からも、農業、農村問題にまた関心が集まったということでしょうか。

○今後は農村水利が投入の重点と明示されているのが目につきました。建国後、或いは文革時を経て、農村の水利施設は相当老朽化していると言います。これらを如何していくかが大事だとは、こちらの研究者も話しておりました。多方面から資金を集め、という点からは新しい水利施設維持管理・設備更新などへのメカニズム模索が感じられなくもありません。

(執筆者・いまじゅん) Twitterアカウントはこちら

*当記事はブログ「北京で考えたこと」の許可を得て転載したものです。



<過去記事>
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