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【政治学で読む中国】インターネットは公権力の腐敗を追及する武器となりうるのか?

2010年12月20日

真実はどっち

言うまでもなく中国では言論の自由、報道の自由が制限されているので、もし、官僚や警官が何か不祥事を起こしたことを発見しても一般人には公表(追求)する手段はありませんでした。

それを多少なりとも、変えてくれたのがインターネットで、土地収用問題なども残り一軒になっても頑張っている姿や、公務員の不正採用などもネットで話題になり、以前とは少しは違った結果になっております。

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そうした状況を踏まえて『重慶晩報』に掲載された「家族がネット掲示板で訴え:「警官がぶつかって怪我をしたのに対処してくれない」=警察側は「老人はスリとぶつかって負傷した」と回答」を見てみたいと思います。

*当記事はブログ「政治学に関係するものらしきもの」の許可を得て転載したものです。

ユーザー名「剪刀」が15日午後ネット上に公表した内容によると、78歳の母親が警察がぶつかってきたため倒され、怪我をし、治療費に既に2000元(3万円)かかった。そのため、警察を訪ねたのですが、警察は1000元しか支払おうとしなかったので、同意しなかったということです。

それを受けて10時頃、ユーザー名「愚民」が、警察側の言い分を掲載したのですが、これが真っ向から食い違っております。「愚民」によると、14日午後警察は2名のスリを追いかけていたが、老人にぶつかったのはそのうち1名のスリで、警察はすぐにその老人を病院に送り届けた。そしたら、その娘と娘婿等3人が警察を訪れ、医療費として1日2000元を要求してきた。また、娘婿は「どうして、警察はスリを逮捕しようとしたんだ。捕まえようとさえしなければ、母親は怪我をすることもなかったんだ。」とまで述べたそうです。

更に警察は容疑者の親族を見つけ出し、医療費の話をつけましたが、老人の娘婿は「警察が金を出せ、緊急救済費用を申請できるだろう」などと言って受け取らなかったそうです。

記者が警察を取材しても、警察の話は当然、この「愚民」の主張と一致していたということで、警察は現在けが人の医療費の問題の解決に全力で取り組んでいると話しているとのことです。記者は、「剪刀」と連絡をとろうとましたが、とれないとしています。

そして、最後に弁護士の見解として、もし本当に老人がスリに倒され、家族の者がそれを知っていて、ネットにそうでないことを書き込んだのなら処罰の対象になるという意見を紹介しています。

事実はどちらだかわかりませんが、「愚民」はおそらく警察関係者であろうと思えます。「剪刀」と連絡がつかないというのも、考えようによっては圧力がかかり、これ以上よけいなことを言わせないようにしている可能性も否定できません。

つまり、可能性としては、①警察が嘘をついている。圧力をかけて被害者を黙らせた。②被害者側が嘘をついている。ここぞとばかりに警察から金をむしり取ろうとした。の2つですが、どちらにしてもろくな話ではありません。特に前者の場合は、インターネットという告発手段を庶民が獲得したように見せておきながら、権力側が、それをひっくり返すこと等、造作もないということになるわけですから、より悪質だと思います。


(執筆者・凜)

*当記事はブログ「政治学に関係するものらしきもの」の許可を得て転載したものです。



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 コメント一覧 (3)

    • 1. 醤油買い
    • 2010年12月20日 11:29
    • 無理だろうね
    • 2. マスゴミ腐敗
    • 2010年12月20日 16:21
    • 中国では無理だろう・・
      日本では、馬鹿な団塊がないくならないと無理だろう
    • 3. Chinanews
    • 2010年12月20日 18:21
    • >醤油買いさん、マスゴミ腐敗
      日本であれ中国であれ、ネットの力にはすごく期待しているんですけど、過剰な期待は禁物ですよね……。

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