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【中国コラム】学食VS学生=「食い物の恨み」暴動はさらに拡大のきざし

2010年12月19日

河南省洛陽で学食ボイコット呼びかけ

物価上昇の煽りをまず食らうのは低所得者かと思っていたら、元気のいい学生だったのですね。

貴州省、四川省と相次いで学食の値上げや質の低下に不満を持つ学生が、食堂を破壊する事件が起きています。四川省の方は学校の質にも不満があるようで、食堂を当局が管理して価格を戻すだけでは収まらないのではと考えられます。

工場のメシが不味くなったのは私も実際に食べて知っており、暴動やボイコットならこちらがまず先ではないかと予測していました。


School cafeteria / Leo-setä


しかし、工員たちは生活がかかっており、相当追い詰められなければ生活を自ら脅かすような軽挙には出られないと思い至りました。その点学生は背負う物が工員に比べれば軽いですから、先に動くのは当然と言えば当然なのかもしれません。逆に言えば、工員が本気を出し始めたらもう終わりですけどね。
マズいわ高いわの学食 洛陽の高校生が食堂ボイコット(2010/12/17 南方都市報)

洛陽第一高校の生徒が書き込んだものと思われます。

*当記事はブログ「中国という隣人」の許可を得て転載したものです。

「外で食べるより高いじゃねえか」「接客終わってるな」「料理の質も終わってるな」などを理由に掲示板でボイコットを呼びかけたところ、速攻で削除されたとのこと。

学食を運営する「深セン金佳禾公司」はスーパーチェーン店、物流などを手がけており、コスト面での期待が持てると共に、この秋から学校が移転したこともあって全校の学食経営を一手に任されたようです。

ところが、この秋から物価上昇が加速した煽りを受け、開業早々から値上げに踏み切ってしまったため、学生達の不興を買ってしまいました。今秋開業ながら、11月の時点で値上げに手を出しているのですが、移転先は交通が不便なため、その辺りの不満も一度にぶつけられているのではないかと。

書き込みに驚いた洛陽市教育局は局長、担当の副局長、校長と企業側の責任者を集めて協議し、コストダウンをさらに徹底し、値下げした価格表をすぐに発表するよう企業側に求めました。

会議での決定事項は学生に文書で渡され、この週末に実家に帰る学生から父兄に通達し、さらに意見を求めるというもの。

業者の企業努力だけで何とかさせるのか、洛陽市から補助金を出すのかは定かではありませんが、業者による便乗値上げの香りも漂っており、業者(学校と当局)VS学生の構図はしばらく続きそうです。

しかし矢面に立たされるのはなぜか学校と当局で、業者の釈明が無い辺りがどうも違和感を感じさせます。

洛陽市教育局は食堂経営を民間に任せるべく、ここ数年モデル校で試運転期間を設け、期間中の評判も悪くなかったため、洛陽一高に深セン金佳禾公司が入ってきました。

ただ、選定にあたって入札を行ったのか、合法的な手続きを行っているのか、などの疑問が湧いた南方都市報の記者さんが洛陽市教育局に電話取材を試みたところ、誰も電話を取ってくれなかったのです。

何度もかけ倒したところ、根負けした職員が出て「「15日のボイコットはなかった」「物価高のおかげで食堂の値段も上がっている」「入札については分からない」との回答をもらいました。
これだけでは入札の件がはっきりしておらず不十分と判断した記者は、洛陽市教育局の局長に電話したところ、「会議中」とかで取材には応じてもらえなかったそうです。癒着の香りもしてきました。

便乗値上げが各地で起きれば、学食暴動も止められないのではないでしょうかね。

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*当記事はブログ「中国という隣人」の許可を得て転載したものです。

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