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【インド映画評】踊って楽しいばかりじゃない!案外多いヘビー作品―鬱になるインド映画<2>

2010年12月20日

鬱になるインド映画2

前回に続いて鬱になるインド映画のご紹介。
ネタバレありまくりなのでご注意。
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3.『アース(1947)』

20101220_india

アーミル・カーン主演作。気分的には1位にしてもいいくらいだが、シャールク主演作の知名度を考慮して3位にした。異教徒間の争いや恋愛をテーマにした作品はインド映画の定番と言ってもいいくらいだが、通常は予定調和的に終わることがほとんどだ。

しかしこの作品は救いが一つもない。やっぱり異教徒同士わかりあえることなどないのだという絶望的な気分になる。アーミルはよくこんな悪役を引き受けたものだ。前半がありがちなラブストーリー仕立てな分、打ちひしがれる。

Deepa Mehta監督は良い作品が多いが暗い。『Water』は未亡人のアシュラムで売春をさせられてお金を稼ぐ主人公が恋をした男性が売春相手の息子と知り入水自殺、年端のいかない子供まで売られるという悲惨な話だが、美男美女の役者と希望を持たせるラストでランクインは見送った。

*当記事は映画から、ニュース、イベント、カレー、旅行など様々なインド・トピックスを扱うブログ「インド映画通信」の許可を得て転載したものです。

4.ラーヴァン

Raavan

今年の東京映画祭で観た作品がランクイン。鬱というより暗い。明るく希望が持てるシーンがほとんどない。暴力と監禁シーンのオンパレードをずっと見せられるつらい2時間だった。




5.神に誓って(Khuda Kay Liye)

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911テロにまつわるパキスタン兄弟の話。弟は過激イスラム主義に走り、兄はテロの容疑者として不当な扱いを受け、いとこの女性は僻地の村で強制的な結婚という軟禁状態にされる。

よくできた映画ではあるが、兄が精神障害となってしまうラストなど鬱になる。しかし、ラストで回復の兆しや登場人物たちに明るい未来がありそうな予感をさせるのが救いである。




番外:女性不振に陥る映画第一位 『三日月』

シュリディヴィとカマラ・ハッサンの名作。事故により記憶喪失・幼児化した女性を売春宿から助け出した男性教師は、彼女を献身的に面倒をみて、それがいつ しか愛情に変わっていく。しかし記憶の戻った彼女は「あんた誰?」的な汚いものを見るかのような冷たい視線を男性に浴びせ、家族と共に帰ってしまう。一人 ぽつねんと取り残された男性。THE END。

もうね、カマラ・ハッサンが気の毒というか、こんな救われないラストでいいのかと。観ているこちらの方も唖然としたある種衝撃のラストだった。

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インド映画は歌って踊って面白おかしくハッピーエンドというイメージが強く、それはあながち間違ってもいないのだが、探せばヘビーな作品も結構多い。心構えができていない分、見る側のショックも大きい。

<前編>
【インド映画評】観れば気分はどん底に?!ダウナー映画特集―鬱になるインド映画<1>


*当記事は映画から、ニュース、イベント、カレー、旅行など様々なインド・トピックスを扱うブログ「インド映画通信」の許可を得て転載したものです。



<過去記事>
【インド映画評】古代叙事詩を題材とした『ラーヴァン』は殺人、暴力、脅迫、監禁のオンパレードだった

【インド映画評】『神に誓って』パキスタン人監督がとらえたタリバン・アメリカ・母国の姿―パキスタン


【インド映画評】エンターテイメント作品として社会問題を描いた傑作=2010年フィルムフェア最優秀作品賞『3バカに乾杯!』

【インド映画評】カースト、女性蔑視、インド社会の差別に女たちの舞が地響きを鳴らす『シスター・チャンドラとシャクティの踊り手たち』

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